【要注意】骨粗鬆症の通院費で損してない?「注射と飲み薬」の費用比較と家計を守る3つの制度

「骨粗鬆症(こつそしょうしょう)と診断されたけれど、これから治療費がどのくらいかかるのだろう」「注射と飲み薬、どちらのほうが費用が高いのか知りたい」といった不安を感じている方は少なくないのではないでしょうか。骨粗鬆症は50代以降の女性を中心に多くの方が診断を受ける疾患で、骨折予防のために長期にわたることが多い治療を続けていくため、月々どれくらいの費用がかかるのかを早めに知っておくことは、治療を続けていくうえでも、家計管理のうえでもとても重要です。この記事では、骨粗鬆症の治療薬の種類別費用と通院にかかる費用の目安、そして費用を抑えるための方法や公的制度について解説します。


監修医師:
久高 将太(琉球大学病院内分泌代謝内科)

琉球大学医学部卒業。琉球大学病院内分泌代謝内科所属。市中病院で初期研修を修了後、予防医学と関連の深い内分泌代謝科を専攻し、琉球大学病院で内科専攻医プログラム修了。今後は公衆衛生学も並行して学び、幅広い視野で予防医学を追求する。日本専門医機構認定内科専門医、日本医師会認定産業医。内分泌代謝・糖尿病内科専門医。

骨粗鬆症の治療費の全体像|月々の目安はいくら?

骨粗鬆症の治療費は、使用する薬の種類によって大きく異なります。健康保険が適用される場合、自己負担割合は原則3割(70歳以上は1~2割)です。3割負担とは、医療費が10,000円かかった場合に自己負担が3,000円になる仕組みです。薬代を除いた月々の外来通院費(再診料・検査料など)は、おおむね月500~3,000円程度が目安です。薬代を合わせると、内服薬中心の治療では月1,000~5,000円程度、高価な注射薬を使用する場合は月換算で1万円を超えることもあります。

■ 初診料
・費用の目安(3割負担):約850~1,000円
・頻度:初診のみ
■ 再診料
・費用の目安(3割負担):約400~450円
・頻度:毎月~2ヶ月ごと
■ 骨密度検査(DXA法)
・費用の目安(3割負担):約300~1,500円
・頻度:年1~2回
■ 骨代謝マーカー検査(血液・尿)
・費用の目安(3割負担):約500~1,500円
・頻度:年1~数回
■ X線検査(脊椎・大腿骨など)
・費用の目安(3割負担):約300~700円
・頻度:必要に応じて

※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

内服薬の費用目安|飲み薬の種類と月額コスト

骨粗鬆症の内服薬には、ビスホスホネート(びすほすほねーと)製剤をはじめとする複数の種類があります。ビスホスホネート製剤とは、破骨細胞(はこつさいぼう)の働きを抑えることで骨が溶けるのを防ぐ薬で、骨粗鬆症治療の中心的な役割を担っています。週1回または月1回の服用で済み、ジェネリック医薬品も多く流通しているため、比較的費用を抑えやすい薬です。以下は主な内服薬の月額費用の目安(3割負担の場合)です。

■ ビスホスホネート製剤
・代表的な薬:アレンドロン酸・リセドロン酸など
・服用頻度:毎日・週1回・月1回
・月額費用目安(3割負担):約130~600円
■ 活性型ビタミンD3製剤
・代表的な薬:アルファカルシドールなど
・服用頻度:毎日
・月額費用目安(3割負担):約270~2,200円
■ SERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)
・代表的な薬:ラロキシフェンなど
・服用頻度:毎日
・月額費用目安(3割負担):約550~1,400円
■ カルシウム製剤
・代表的な薬:L-アスパラギン酸カルシウムなど
・服用頻度:毎日
・月額費用目安(3割負担):約50~270円

※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

SERM(選択的エストロゲン受容体調節薬)とは、骨に対してはエストロゲン(女性ホルモン)と似た働きをして骨量の減少を防ぐ薬で、閉経後の女性に処方されることが多いです。複数の薬を組み合わせて使うことも多く、その場合は薬代の合計が月2,000~4,000円程度になることがあります。

注射薬の費用目安|効果が高い分、費用も高め

骨密度の低下が著しい場合や、内服薬で十分な効果が得られない場合には、注射薬が選択されることがあります。注射薬は内服薬に比べて費用が高くなる傾向がありますが、投与間隔が長いものや、骨折リスクを下げる効果が期待できるものもあります。代表的な注射薬の費用目安は以下のとおりです。

■ 抗RANKL抗体
・代表薬品名:デノスマブ(プラリア)
・投与間隔:6ヶ月に1回
・1回費用目安(3割負担):約8,400円
・月換算費用目安:約1,400円
■ PTH関連ペプチドアナログ
・代表薬品名:アバロパラチド(オスタバロ)
・投与間隔:1日1回
・1回費用目安(3割負担):約345円/日
・月換算費用目安:約9,700円
■ PTHアナログ
・代表薬品名:テリパラチド(テリボン)
・投与間隔:週1回
・1回費用目安(3割負担):約3,060円/回
・月換算費用目安:約12,600~13,200円
■ PTHアナログ
・代表薬品名:フォルテオ(先発)
・投与間隔:1日1回
・1回費用目安(3割負担):約315円/日
・月換算費用目安:約8,800~9,700円
■ PTHアナログ
・代表薬品名:テリパラチドBS(後発)
・投与間隔:1日1回
・1回費用目安(3割負担):約200~220円/日
・月換算費用目安:約5,600~6,800円
■ 抗スクレロスチン抗体
・代表薬品名:ロモソズマブ(イベニティ)
・投与間隔:月1回(12ヶ月間)
・1回費用目安(3割負担):約15,000円(2本分)
・月換算費用目安:約15,000円

※上記はあくまで目安です。受診する医療機関や検査内容・投薬内容により異なります。

テリパラチドやロモソズマブは骨を新しく作る働きを促進する薬で、骨折リスクが特に高い方に処方されます。費用は高額になりますが、確実に治療を続けることで、将来の骨折による莫大な医療費(入院や手術)を防ぐことにつながります。

費用を抑えるためにできること

■ ジェネリック医薬品(後発医薬品)の活用

ジェネリック医薬品とは、先発品と同じ有効成分で同等の効果を持ちながら、開発費がかからない分価格が低く抑えられた薬です。たとえばアレンドロン酸などのビスホスホネート製剤にはジェネリックが多く流通しており、先発品の半額以下になることもあります。処方箋を受け取ったら薬剤師に「ジェネリックに変えられますか」と伝えるだけで切り替えられます。毎月の薬代を数百円単位で削減できるため、長期治療では積み重ねの節約効果が大きくなります。

■ 処方日数を増やして通院回数を減らす

骨粗鬆症は状態が安定すれば、1回の受診で2~3ヶ月分の薬をまとめて処方してもらえる場合があります。通院回数が減ることで、再診料(毎回400~450円程度)や交通費を節約できます。「まとめて処方をお願いできますか」と主治医に相談してみましょう。治療の安定期に入ったタイミングで切り出すとスムーズに応じてもらいやすいです。

■ 検査の間隔を主治医と確認する

骨密度検査(DXA法)は治療開始後や薬の変更時は年1~2回が目安ですが、治療が安定してきた段階では間隔を広げることもあります。必要以上に検査を繰り返す必要はないため、「今の状態で検査間隔は適切ですか」と主治医に確認しておくと、費用と通院の負担を適切に管理できます。

知っておきたい公的制度

■ 高額療養費制度(こうがくりょうようひせいど)

高額療養費制度とは、1ヶ月(1日~末日)の医療費の自己負担額が一定の限度額を超えた場合に、超えた分が払い戻される仕組みです。限度額は年齢・所得によって異なりますが、たとえば70歳未満で年収約370~770万円の方(区分ウ)の場合、自己負担限度額は「80,100円+(総医療費-267,000円)×1%」となり、万が一、骨粗鬆症による骨折で入院や手術が必要になった場合に、実質的な自己負担を大きく抑えることができます(※外来での注射薬のみでは上限額に達しないことがほとんどです)。

事前に「限度額適用認定証」を取得しておくと、医療機関の窓口での支払いを最初から限度額にとどめることができます。申請窓口は、会社員の方は勤務先の健康保険組合または全国健康保険協会(協会けんぽ)、自営業・無職の方は居住地の市区町村窓口です。

また、マイナンバーカード(マイナ保険証)でオンライン資格確認をすると自動で自己負担限度額が適用されるため、高額療養費の申請不要や、窓口での支払いが自己負担限度額までに抑えられるというメリットがあります。

■ 医療費控除(いりょうひこうじょ)

医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の合計が10万円(総所得金額の5%が10万円未満の場合はその金額)を超えた場合に、確定申告をすることで所得税・住民税が軽減される制度です。骨粗鬆症の外来治療費・処方薬代・通院交通費(電車・バス代など)も対象に含まれます。ただし、市販の健康食品やサプリメント、定期健康診断の費用は原則として対象外です。領収書は1年分まとめて保管しておくことが重要です。申請窓口は居住地を管轄する税務署で、毎年2~3月の確定申告期間に手続きを行います(e-Taxによるオンライン申告も可能)。

■ 介護保険制度(かいごほけんせいど)

骨粗鬆症による椎体骨折や大腿骨骨折が重なり、日常生活に支障が出てきた場合には、介護保険制度の利用を検討する価値があります。65歳以上の方(または骨粗鬆症性骨折などの特定疾病に該当する40~64歳の方)が対象で、要介護・要支援の認定を受けることで、訪問リハビリ・デイケア・福祉用具(歩行補助杖・手すり等)の貸与などを1~3割の自己負担で利用できます。まず居住地の市区町村窓口または地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請を行うことが第一歩です。

編集部まとめ

骨粗鬆症の治療費は、使用する薬の種類によって月数百円から数万円まで幅があります。通院費・薬代の目安と費用を抑えるポイントをまとめると以下のとおりです。

通院費(薬代・検査代除く)は月500円程度が目安で、骨密度検査(DXA法)や骨代謝マーカー検査が年1~2回かかる

内服薬(ビスホスホネート製剤など)は月50~1,400円程度と費用を抑えやすく、ジェネリック活用でさらに節約できる

注射薬(デノスマブ・テリパラチド・ロモソズマブ)は月換算で1,000~15,000円と幅が大きく、骨折リスクの高い方ほど効果的な薬が選択される

万が一骨折して入院や手術が必要になった場合は、高額療養費制度を活用することで月の自己負担を一定額(上限額)に抑えることができる。

費用面の不安は、医療ソーシャルワーカーへの相談で解決できることが多い

骨粗鬆症と診断されたら、まず主治医に「どの薬が自分に合っているか」「月々の費用の目安はどのくらいか」を遠慮なく聞いてみましょう。費用について聞きにくいと感じる方は、病院の医療ソーシャルワーカーに相談することで、公的制度の活用方法を含めた具体的なアドバイスを得ることができます。

骨粗鬆症の治療は長期にわたることが多いですが、適切な薬を続けることで骨折リスクを着実に下げることができます。費用の見通しを立てながら、無理なく治療を続けていきましょう。

※本記事の情報は2026年5月時点のものです。診療費・薬価は定期的に改定されることがあるため、最新の情報は医療機関や各行政窓口にご確認ください。本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の医療・法律・税務アドバイスを提供するものではありません。