【W杯】日本、残り1分の悲劇!ブラジルに逆転負けで敗退 イレブンは号泣 後半ATに悪夢の失点…王国相手に先制も32強で散る
◆サッカー北中米W杯▽決勝トーナメント1回戦 ブラジル2―1日本(29日、ヒューストン競技場)
FIFAランク18位の日本は同6位のブラジルに後半アディショナルタイムに決勝点を奪われて1―2で敗戦。16強進出を逃した。逆転負けは24年2月のアジア杯準々決勝のイラン戦以来2年ぶりとなった。
初の決勝トーナメント(T)での勝利をかけた一戦の相手は、史上最多5度の優勝を誇る“王国”ブラジル。1次リーグ(L)を無敗で突破した日本は、相手のFWビニシウスを止めるため、DF冨安健洋らを先発で起用。ブラジルも主力をずらりとそろえる“本気”の布陣で挑んできた。会場のスタンドは9割ほどはブラジルサポーターとなり、カナリアカラーで埋まった。
立ち上がりは積極的なハイプレスを仕掛けたが、試合が進むにつれてミドルブロックに変更するなど、柔軟にブラジルの強力攻撃陣に対応する。粘り強く守ると、前半29分に先制する。MF佐野海舟がDFダニーロのパスをカットすると、自ら前へ運んでエリア手前からミドルシュート。低い弾道のシュートはゴール左へ吸い込まれ、イレブンが歓喜に沸いた。
2点ビハインドから大逆転勝利した昨年10月の親善試合の再来を予感させたが、ここからブラジルの反撃が始まった。後半からブラジルがクロスからの攻撃を増やし、ピンチが増える。すると後半11分、そのクロスから同点弾を許す。攻撃の流れからDFガブリエルに左クロスを上げられると、ファーサイドでMFカゼミロにフリーでヘディングを許し、ネットの中に押し込まれた。ビニシウスも左サイドで個の能力を発揮し、徐々にブラジルの流れになっていく。
後半アディショナルタイム(AT)まで耐えに耐えたが、ついにAT6分、FWマルチネリに決勝点を奪われた。表示されていたATは6分。同点での引き分け突入まで残り時間1分たらずの悲劇だった。
日本サッカー界にとって、ブラジルは常に“手本”のような存在だ。ジーコ、レオナルド、ドゥンガ―。Jリーグ発足以降、ブラジルから多くの名選手や指導者ら来日し、世界の技やプロとしての心構えを学んだ。「たくさんの指導者が日本に来てくださり、たくさんの選手たちが、国内で世界基準を培ってくれている」と森保監督。日本が世界へと飛び出す土台を築いてくれたブラジルに善戦を繰り広げたが、あと一歩及ばなかった。
世界一の「最高の景色」を目指して歩んできた4年間だった。前回22年カタールW杯では1次Lでドイツ、スペインというW杯優勝国を破って決勝Tに進出して世界を驚かせた。だが、決勝T1回戦ではPK戦の末にクロアチアに敗退。涙に暮れる選手たちを見て、森保監督は心に誓った。「次のW杯は世界一を目指す」。日本サッカー協会の続投要請を受け入れると、選手層2〜3チーム作れるほど厚くしながら、アジア予選を戦い抜き、W杯切符を獲得。日本史上初めて2大会連続で、W杯を指揮することになった。
親善試合ではブラジル、イングランドなど強豪を破るなど着実に強化してきたが、万事順調とは行かなかった。負傷で左サイドの主力だった南野拓実、三笘薫を26人のW杯メンバーから選外とする苦渋の決断を下した。
さらに、初戦のオランダ戦を3日後に控えたタイミングで、左足甲負傷の回復が思わしくない主将のMF遠藤航がチームから離脱。新主将のDF板倉滉の提案により選手ミーティングを実施する“ダラスの夜”で結束したが、1次L初戦のオランダ戦ではMF久保建英も左膝を負傷した。幾度も起こる困難に立ち向かってきた。
試合後、決勝点につながるミスをしてしまった田中、負傷で決勝Tのピッチに立てなかった久保らは号泣。イレブンは一様に喪失感で呆然となった。
過去最強の日本代表を作り上げたが、今回も決勝Tでの白星はつかめなかった。世界一までの壁はやはり厚い。

