「ただの虫刺され」、実は“マダニ感染症”かも? 過去最多ペースで拡大、対策は「○○しないこと」
夏が近づく昨今、スーパーやドラッグストアで防虫グッズを見かけることも多くなりました。「虫に刺されることへの不安」を感じ、すでに対策を始めている人も多いのではないでしょうか。
国立健康危機管理研究機構は、2026年第24週(6月8日~6月14日)時点のIDWR速報データを公表。これによると、マダニを介して感染する「重症熱性血小板減少症候群(SFTS)」の累積報告数は78件にのぼり、過去最多を上回るペースで増加しています。SFTSの特徴や発生状況、日常生活でできる予防策について、小幡先生に伺いました。
監修医師:
小幡 史明(医師)
自治医科大学医学部卒業 / 現在は医療法人静可会三加茂田中病院、医療法人在宅会みんなのクリニック勤務 / 専門は総合診療科、腎臓内科、感染症科
国立健康危機管理研究機構が発表した内容とは?
編集部
国立健康危機管理研究機構が発表した内容を教えてください。
小幡先生
国立健康危機管理研究機構が公表しているIDWR速報データによると、2026年第24週時点で重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の累積報告数は78件でした。今回の報告では、全国各地で患者さんの発生が確認されました。特に患者数が多かった愛媛県では6件、静岡県・愛知県・山口県・長崎県・熊本県ではそれぞれ5件の報告がありました。また、岡山県でも1件の報告が確認されています。
西日本を中心に発生が多く見られる傾向がありますが、関東地方などでも報告があり、地域を問わず注意が必要です。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS)とは?
編集部
SFTSについて教えてください。
小幡先生
SFTSは、SFTSウイルスを持つマダニにかまれることで感染するダニ媒介感染症です。発熱や強いだるさ、食欲不振、吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が表れ、重症化すると命に関わる場合があります。感染経路はマダニから直接のほか、感染した動物との接触や、患者さんの体液への接触、すなわち人から人への感染も報告されています。診断には血液検査等が行われ、国内では抗ウイルス薬による治療も承認されています。
SFTSを予防するためには、マダニに刺されない対策が重要です。草むらや藪などに入る際は、長袖や長ズボンを着用し、肌の露出を減らしましょう。もしマダニにかまれた場合は無理に取らず医療機関に相談し、体調に変化がある場合は早めに受診しましょう。
内容への受け止めは?
編集部
国立健康危機管理研究機構が発表した内容への受け止めを教えてください。
小幡先生
2026年第24週時点でSFTSの累積報告数が78件と、急増するマダニ媒介感染症への注意が必要です。SFTSは西日本を中心に報告されてきました。近年は報告地域も拡大しつつあるので、「特定の地域だけの病気」と考えないことが大切です。一方で、SFTSは日常生活で容易に人から人へ広がる感染症ではなく、過度に不安を抱く必要はありません。
・山林、草むら、畑、河川敷などでは長袖・長ズボンを着用する
・肌の露出を避ける
・帰宅後に体や衣類を確認する
といった基本的な対策が重要です。
かまれた後に発熱、強い倦怠感、食欲低下、嘔吐、下痢などが表れた場合は、早めに受診し、マダニにかまれた可能性を医師に伝えてください。
編集部まとめ
SFTSは、マダニを介して感染することがある病気で、身近な自然環境でも感染には注意が必要です。特に春~秋にかけてはマダニの活動が活発になるため、山や草むらに入る際は服装を工夫し、肌を守ることが大切です。もしマダニにかまれたり、発熱などの症状が出たりした場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。日頃から正しい知識を持ち、無理なくできる予防を続けることが、自分や家族の健康を守ることにつながります。

