【衝撃の泥沼裁判の行方は…】世田谷「高級マンション」の住民と東急不動産が総会で”大モメ”の一部始終

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今年3月30日、渋谷区・道玄坂で開かれた定期総会には異様と思える光景が広がっていた。

この日、集まったのは世田谷区内に建つマンション「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ(以下、フロレスタ)」の区分所有者たち。一見すれば、なんの変哲もないマンション住民による総会にも思えるが、総会議長を務める管理組合理事長の一声から突然、会は熱を帯び始める。

「総会としての出席、認めておりません。ご退席をお願いします」

名指しされた弁護士は「東急不動産の代理人として本総会のアドバイザーという立場で出席させていただきたいです」と言葉を返す。

「総会としての出席、認めておりません。ご退席お願いします」

「連絡書面もお送りしたかと思います」

「許可しておりません。ご退席をお願いします」

そうして始まった応酬は実に30分に及んだ。だが、その後に開催された総会ではさらなる珍事が巻き起こっていた。このマンションは、7年前に施工不良が見つかり裁判沙汰にもなった建物としても知られている。その問題は住民総会へと場所を移し、新たなバトルへと発展していた――。

泥沼裁判の最中に行われた「住民総会」

東京・世田谷区に建つ「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」。

竣工は1998年10月。地上8階建て、敷地面積は約1560平方メートルで、部屋数は49戸の分譲マンションとして販売された同マンションを巡っては、住民らが運営する管理組合とデベロッパーの東急不動産のあいだで長年、トラブルが続いている。

「フロレスタは2019年頃から屋上の雨水が流れ込み、地下ピットに水たまりを作っている事例が発見されると耐震スリットの不備も露呈。この時点で東急不動産はマンションの建て替え案を提案。しかし、2021年の調査では建物自体の真北が西に14度ずれていたことが発覚し、同マンションは違法建築物と判定されました。

その後、東急不動産は建て替え案を破棄し、関連会社とともに部屋の買い取り交渉を開始。現在は49戸中、44戸を取得していますが、5戸は売買には応じておらず、2025年6月に住民らで構成される管理組合が、事業主である東急不動産を相手取り、マンションの建て替え義務を求める民事提訴を行っています。裁判は現在も続けられています」(経済部記者)

2024年に現代ビジネス編集部は住民らの訴えを取材。当時のトラブルの詳しい経緯は『「鉄筋は切断され、地下には水たまりが…」開かずの間となった「東急不動産の高級マンション」で住民らを襲った「悪夢の光景」』に記載している。

そんな最中の今年3月30日に開催されたのが「東急ドエル・アルス世田谷フロレスタ」の住民定期総会だった。

当日は議長をはじめとする住民ら15名ほどが続々と事務所に現れ、定刻の19時を待っていた。

「総会はマンション住民からなる管理組合が主催で、各区分所有者らが集まりました。個人以外では計44戸を所有する東急不動産と関連会社から委任を受けた東急不動産の社員たちがそれぞれ代表として参加していました」(マンションの区分所有者)

これまでも管理組合は住民総会を定期的に開催。31日は第27回を数える定期総会で、東急不動産が出席するのは約2年ぶりの出来事だった。

言葉の応酬で総会は大荒れに…

当日は部屋を所有する東急不動産、関連会社の社員のほかに代理人が参加。しかし、組合は代理人の出席は事前に認めていないとして、退出を要求。冒頭のやり取りはその一幕だ。

議長によって退席を求められた代理人は「レター(書面)で『参加させていただきます。異議がある場合はおっしゃってください』と申し上げていたんですが、特に異議はなかったと理解しております」と反論。それでも「ここは定期総会なので議長が出席者を決められます。ご退席をお願いいたします」と議長の強硬な態度は変わらなかった。

退席を求める理事会と参加を希望する代理人。すると、両者の応酬は参加者席に座る別の人物にまで広がっていく。

「先生は今、どういった立場で出席されているんでしょうか」(東急不動産側代理人)

東急不動産側の言う「先生」とは、管理組合の代理人を務める弁護士だ。指摘された組合側弁護士は「あなたの質問に答える必要はございません」と返す。

それでも東急代理人はマンション問題での裁判を踏まえ、「弁護士倫理上、双方の代理人がついている場合、直接交渉は禁じられているかと思いますので、そういった観点から片方だけに代理人がついている状態での開催は非常に不適切かなと考えます」と釘を差す。

対して、組合側の弁護士は「私は議長の許しを得て、出席しています。私は(管理組合の)代理人ではありません。オブザーバーとして見ているだけです」と言葉を戻し、すかさず東急不動産の代理人も「私たちも東急不動産から依頼を受け、オブザーバーとして同席させていただきたい」と要望。だが、議長は「定期総会の出席は議長に権限がございます。ご退席をお願いします」「出席は認めていません」と当初の姿勢を崩すことはない。

その後も他の理事らが「この状態が異常」「早くお帰りいただけませんか」と応戦。会では、代理人弁護士らが「東急不動産がすでに提出している修正議案を総会で扱うこと」「出席している組合員(東急不動産と関連企業)の議決権を認めること」を強調し、理事会に求める場面があった。

押し問答を続けることおよそ30分。東急代理人は、事務所近くで待機する旨を伝えたうえ「東急社員らが組合員として権利行使を阻害される場合があれば、意見を申し上げる」と言い残し、事務所から退室した。

定刻から30分以上が経過してようやく始まったフロレスタの定期総会。しかし、そこで行われたのは異様とも思える強行採決だった。

つづく後編記事『東急不動産と世田谷の高級マンション管理組合の「不穏な定期総会」“いい加減にしろ!”の怒声まで飛び交う異常事態が起きた舞台裏』では住民総会で起こった珍事、さらにこじれにこじれた「組合」「東急不動産」双方の主張を詳しく報じる

【つづきを読む】世田谷・高級マンション管理組合と東急不動産の「不穏な定期総会」”いい加減にしろ!”の怒声まで飛び交う異常事態が起きた舞台裏