アメリカによるイランへの攻撃開始から100日以上が経過する中、トランプ大統領の奔放な行動は「自己顕示欲の表れではないか」と注目を集めている。

【映像】物議を醸したトランプ氏の「ナルト風」動画

 ニュース番組『わたしとニュース』では、国際政治学者の三牧聖子氏とともにトランプ政権の現状や支持率低下の背景、中間選挙への見通しについて考えた。

■プロバスケ観戦でブーイング…奔放な行動と支持率低迷

 奔放な行動が目立つトランプ氏。現職大統領として初めてプロバスケットボールの決勝戦を観戦するためニューヨークを訪れたが、その際、観客から激しいブーイングを浴びたという。

 さらに、SNSでも一騒動起きている。トランプ氏が日本の人気アニメ『NARUTO』の主人公を模したアニメ調の動画を投稿し、これが「知的財産権の侵害にあたるのではないか」と問題視されている。

 現在のアメリカ国内におけるトランプ政権の支持率は、ロイターの調べ(6月8日時点)によると約35%で、5月の調査結果と横ばい・最低水準となっているという。要因としては原油高や物価高対策の失敗が挙げられている。一方で、現在各地で行われている共和党内の予備選挙では、トランプ氏が支持を表明した候補者たちが連勝を続けているという。この状況について、三牧氏は次のように解説する。

「トランプ氏は物価高の問題を解決すると言って多くの支持を集めて大統領になっているので、なかなか物価高が収まらない中、支持率が低下するのは当然のこと。他方で今、11月の中間選挙に向けて、共和党・民主党の候補を決める予備選が行われていて、そこではトランプ氏が支持した候補者が立っているので党内ではいまだに強い力を見せている状況」(三牧氏、以下同)

 一方で、早稲田大学の中林美恵子教授は次のように見解を示す。

「一般的な支持率は下がっているが、各地の予備選ではトランプ氏に対し中立的・冷ややかな候補者が負けている。トランプ氏の岩盤支持層はまだ熱気を保っており、共和党内では強い立場を維持している」

 そうした岩盤支持層の“熱気”について、三牧氏は次のように指摘する。

「トランプ氏の1期目の熱気に比べると、そこまでの勢いではないと思う。トランプ氏が応援した候補者を勝たせるために宣伝・広告費などが必要で、党や多くの献金者が資金を投入せざるを得なくなっている。これらの予備選では、近年稀に見る巨額の資金が動いた選挙となった」

「つまり、トランプ氏が支持しただけでは勝てないということ。とりわけイラン戦争に反対していた共和党の議員は、最終的に敗れたものの相当な接戦だった。その候補者を落選させるために、かなりの資金を投じなければならなかった。 トランプ氏の影響力はいまだ強力だが、政策が支持されておらず、国民はもうイラン戦争をやめてほしいと思っている。それなら、本当はイラン戦争に反対する共和党の候補者に勝ってほしかったところだが、トランプ陣営が巨額の資金を投入して勝った、という状況のようにも見受けられる」

■「自分の影響力を示すのにいっぱいいっぱい」中間選挙への波乱

 では、11月に控える中間選挙の見通しはどうなるのか。

中間選挙では民主党の候補者に勝たなければ、トランプ氏が応援した共和党の候補者も議員になれない。これには様々な背景がある。例えばテキサス州では、ここ数十年間、共和党が連邦議会をはじめ様々な公職をとってきたわけだが、最も難しいとされる上院選挙で民主党から30代の若手の新星が出てきた。

さらに今回、トランプ氏が強く応援して予備選を勝ち抜いた候補者は、過去に刑事事件での訴追や不倫問題といった倫理的課題を抱え、非常に不人気な人物であった。そのような人物をトランプ氏がゴリ押しして本選の候補にしてしまったため、民主党の若手新星と、刑事事件などを抱えた候補が決戦で戦う構図となり、かえって民主党に有利になってしまっている。

トランプ氏としては、党内での自分の影響力を示すのにいっぱいいっぱいで、本選でどういう候補者が勝てるのかというところまであまり頭が回っていないようだ」

 党内での影響力を誇示するあまり、本選での勝利という本来の目的が見失われている現状。トランプ氏の自己顕示欲が、今後のアメリカ政治にどのような波乱をもたらすのか、注視していく必要がありそうだ。

(『わたしとニュース』より)