【A4studio】AIの台頭で「MARCH文系」でも就職難の時代が来るか…企業が新卒採用数を減らす「裏事情」
AIの台頭で「文系人材」が余る?
現在、新卒の就職市場はこれまでにないほどの“売り手市場”となっている。しかしAIやロボットの台頭により、今後その状況に大きな変化が訪れる可能性もあるだろう。
経済産業省は今年3月、大卒・院卒の文系人材が2040年に約80万人余るとの推計を発表。背景には事務職といった文系職種業務の一部が、AIやロボットによってデジタル化されることによる採用減が進んでいるといった事情があるとみられる。その一方で、理系人材はAIやロボットの普及によって不足の傾向となり、市場価値は今後高まっていくという。
この発表に対して、ネットでは日本の就職市場や教育現場の変化を危惧、疑問視する声が散見しているのだ。
《北米とイギリス、欧州はさらに文系は悲惨なため学生集まらず学部が潰れるどころか大学が潰れてますからね》
《文系理系という区分自体がすでにガラパゴスだと思うし、情報だけ、経済だけ、バイオだけ、哲学だけみたいなそんなのがもう通用しなくなってるんだと思っている》
国立大学や早慶レベルであれば文系学生も引く手あまただろうが、もしかすると「MARCH」(明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)の文系学生が就活で苦戦する未来が近いうちに到来するなんてことも……?
さらに最近では新卒採用枠を減らす企業も出始めている。例えば2027年卒の採用人数をみてみると、大手飲料メーカーのサントリーHDは前年度比8%減、総合電機メーカーのパナソニックHDの場合、前年度比約100人減と、大手でも新卒採用を縮小させている企業があることがわかる。
いままさに転換期を迎えようとしている日本の新卒就職市場。果たして文系学生たちの就職状況は今後深刻な状況となり、競争が激化していくのか?
今回は、労働・雇用などに関する研究を多数行い、就職市場に精通するパーソル総合研究所の主席研究員である小林祐児氏に話を聞いた。(以下「」内は小林氏のコメント)
今後も売り手市場は継続していく
2026年卒の大卒求人倍率は1.66倍、10月中旬時点での大学生・大学院生の内定率は90%超えと、依然として企業の採用意欲は高く、売り手市場で推移している就職市場。
今後売り手市場から買い手市場へと変化するタイミングは来るのだろうか。多くの企業の就職状況を分析する小林氏は、現場の温度感をこう語る。
「コロナ禍をのぞき、これまで数十年ずっと売り手市場が続いている状況ですので、今後急激に買い手市場へ逆転していくということはないでしょう。また文系、理系ともに就職率に大差はなく、どちらも高い水準で推移しています。
新卒採用のコストや負担は年々上がり続けていることから、学生の内定辞退に困っているという企業からの相談も多く、足元の感覚ではまだまだ企業の採用意欲は高い状態であるといえます。今後も安定的に売り手市場は継続していくのではないでしょうか」
企業が採用枠を減らしている裏事情
また、小林氏はAIなどの導入が進むことが原因で新卒採用枠が大幅に減っていくことは「ない」と予想する。
「実はAIの生産性は発展途上な部分が多く、まだ実務での完全な実用には至っていないことがほとんど。そんななかで、いきなり新卒の採用数を減らすのは企業にとってはリスキーなことなのです。
なぜならば、就職氷河期のころに新卒採用を抑制したことで、結果的に中堅が育たず、社内で若手を育成することに苦労したという教訓があるからです。若手を毎年一定数採用し続けることは、組織運営においてのリスクヘッジとなるため、新卒採用枠を減らすという選択は多くの企業が躊躇することでしょう」
一方で、現在大手企業などではAI導入を理由に採用数を減らしている傾向も見られるが、これにはAIとは別の事情が絡んでいると小林氏は指摘する。
「企業には、営業や販売といった売上に直結する直接部門と、企画や人事、事務といったいわゆるバックオフィスと呼ばれる間接部門の2種類があります。会社の規模が大きくなればなるほど、間接部門の規模も大きくなるわけですが、大手企業で悩みとなっているのが間接部門の人員の“余剰感”です。
売上には直結しづらい間接部門を多く抱えることで人件費のコストが膨れているため、企業としてはAI導入を建前の理由に、実際にはこうした間接部門の人員削減をしたいという意図があると考えられるのです」
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