自然をそのまま水槽に 「水の箱庭」鳴門に達人【徳島】
目指すのは、自然をそのまま水槽に詰め込むこと。
鳴門市に店を構え、水槽づくりに情熱を注ぐ一人の若者を取材しました。
水の中を優雅に泳ぐカワムツ。
全国の河川に生息するおなじみの淡水魚ですが…。
泳いでいるのは実は「水槽の中」です。
田舎の小川をそのまま詰め込んだかのような、この水槽。
手掛けたのは「水槽屋oAsis」を営む、福井翔悟さん 27歳です。
鳴門市に本社を構える大手釣り糸メーカーからの依頼を受け、玄関ロビーに設置しました。
「きょうはメンテナンスなんですけど、コケとったり、水換えたりとか」
(記者)
「何mくらいある?」
(水槽屋oAsis・福井翔悟さん)
「4mです。軽トラよりでかいです。大変です、びちょびちょになりながら」
水槽のテーマは、神山町の小川をイメージしたという「徳島の自然」。
川魚たちは、複雑に入り組んだ流木の間を自由に泳ぎ回り、泳ぎ疲れれば水草の下でそっと身体を休めます。
ダイナミックに突き出した流木は、キャンパスに収まらなかった福井さんのイマジネーションといったところでしょうか。
(水槽屋oAsis・福井翔悟さん)
「この真ん中の流木がむっちゃカッコよくて。絶対に見せたい。どんなところがかっこいいか?野暮ですね、見て感じろって感じですね」
流木や岩にコケが生え、水草が成長していく…。
水槽は時の流れとともに変化し続けます。
福井さんはその変化を尊重しながら、定期的に手入れを行います。
(水槽屋oAsis・福井翔悟さん)
「水の箱庭といわれるように、庭園に例えられることも多いので、庭師の作業に近い」
「終わりがないので、そこが面白い」
2025年12月に立ち上げたこの水槽。
さらに深い趣が出るのは、もう少し先のことになりそうです。
ある朝、福井さんの姿は佐那河内村の山の中にありました。
(水槽屋oAsis・福井翔悟さん)
「お~、いいな~」
休日は、アイデアと癒しを求め、豊かな山や渓流を訪れています。
(水槽屋oAsis・福井翔悟さん)
「めっちゃ綺麗でないですか?木漏れ日に植物がすごい溜まって。あっちは暗いのでシダが生息している」
「川で美しいと思うのがS字、参考になる、コケがむしてきて綺麗」
「自然を再現する、水槽の中に自然を再現するのが一番大事」
大学時代、ペットショップのアルバイトをきっかけに、水槽の世界へのめり込んだ福井さん。
一度は県内の企業に就職したものの…。
(水槽屋oAsis・福井翔悟さん)
「自然に来たり、自然の空気感が好きなんで、それの延長で今の仕事がある」
「好きなことを仕事に」一大決心をして、今のお店を立ち上げました。
曾祖父母が住んでいた鳴門市の古民家を工房兼ギャラリーに改装。
福井さんがレイアウトした5万円から10万円程の一点ものの水槽のほか、レイアウトに使う流木や水草、石などを販売し、ネットショッピングにも力を入れています。
(水槽屋oAsis・福井翔悟さん)
「自分が良かったなと思う作品があんまりウケが良くなかったり、普通かなというものが意外とウケが良かったり」
「わからん部分が多い。客さんの提案に対して100%リスペクトで返すというのは絶対だが」
「その上で、そこに自分の感覚をリンクさせていくかで、自分の個性が出てくる」
最近は、3Dプリンターを導入し、初心者でも水槽の壁にコケや水草を設置できるキットの製造・販売を始めました。
(水槽屋oAsis・福井翔悟さん)
「誰でも簡単にこういう美しいアクアリウムを提供したい。そこが一番目指すところ。」
開業してまだ1年も経たない、小さな水槽屋さん。
福井さんが水槽に込める飽くなき情熱は、私たちにどんな驚きと癒しを届けてくれるのでしょうか。
