「高くてコメが買えない」よりも深刻な「コメを食べない」問題…令和のコメ騒動がもたらした“コメ離れ”という悪夢
第1回【「コメ5キロが2000円台に!」は本当か…スーパーを回る関係者が明かす意外な実情「最大の懸念は“6月暴落説”が現実となるか」】からの続き──。長野県のJA幹部が2025年4月、「5キロ4000円のコメは1杯50円。これに対してコンビニのサンドウィッチは300円から350円。コメのほうが安い」と主張し、炎上したことがあった。農林水産省が管轄する「米穀安定供給確保支援機構」という公益社団法人がある。略称は「米穀機構」で、多岐にわたる彼らの仕事の一つに「コメ消費動向の調査」がある。(全2回の第2回)
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【画像】グラフを見れば一目瞭然…わずかな期間で家庭でのコメ消費量がガクッと減っているように見える
全国の消費世帯モニターを対象にインターネットを利用して調査を実施している。4月27日に発表された3月分の調査では、有効調査世帯数は1608世帯だったという。

レポートを読むと、「家庭内消費量」が著しく減少しているのが一目瞭然だ。例えば2024年4月、日本人は外食・中食・家庭を合わせて約5・0キロのコメを食べた。家庭用だけを抽出すると約3・4キロだった。
ところが今年3月になると、外食・中食・家庭を合わせて約4・3キロ、家庭だけだと約2・8キロまで減少した。前者の減少率は約14%、後者は約18%になる。首都圏のスーパーを回っている関係者が言う。
「何しろ“令和のコメ騒動”が猛威を振るった時、首都圏ではコメ5キロが5000円で売られていました。XなどのSNSでは『あまりに安すぎるとコメ農家の皆さんが苦しむ』と高値に理解を示す意見も少なくありませんが、やはり多くの消費者は価格でコメを買うか決めています。例えば2025年5月、当時の小泉進次郎農水相が備蓄米の放出を発表しました。翌6月から5キロ約2000円で店頭に並ぶと消費者が殺到。農水省の調査でもコメの購入量が増加しました。そして備蓄米が店頭から消えると、購入量も減少したのです」
コメの独り負け
コメを減らした消費者は何で炭水化物を摂取したかといえば、パン、パスタ、うどん、ラーメンだった。
「大手スーパーの経営幹部が『コメがまったく売れない。代わりにパン、パスタ、うどんの販売数が伸びている』と発言して注目を集めたことがあります。5月中旬に都内の大型スーパーを訪れると、イタリア産の超高級パスタが何と1キロ800円台で売っていました。味は抜群ですから、パスタ好きなら飛びつくでしょう。またコメ卸大手の社長が講演会で『今、コメで売れているのはカリフォルニア米だけ』と内情を明かし、これも大きく取り上げられました。消費者が小麦と外国産米にシフトしたことで、日本産のコメが全く売れなくなったことが分かります」(同・関係者)
さらに長期的、マクロな視点に立つと、コメの“独り負け”が浮き彫りになるという。
「コメ価格の高騰で消費者がコメから小麦にシフトしたのは事実ですが、小麦の消費量が急激に伸びたというデータはありません。基本的には横ばいなのです。ところがコメは令和のコメ騒動が始まる前から消費量が減少を続けているのです。それこそ戦前に遡ると、日本人はコメをたくさん食べて満腹感を得ていました。ところが戦後に高度成長を成し遂げると、食生活は充実し、バラエティが豊かになります。昔のようにコメではなく、おかずで満腹になる日本人が増えたのです」(同・関係者)
消費者はコメを拒否!?
コメ業界の関係者は「6月暴落説」に神経を尖らせている。コメが全く売れないため卸業者の倉庫にはコメの在庫が積み上がっている。おまけに7月から超早場米が市場に出る。
卸業者は在庫に耐えきれず、投げ売りが始まる可能性が指摘されている。とはいえ、たとえコメが暴落したとしても、消費者が「もうコメはいりません」と購入を拒否する可能性も決して絵空事ではなさそうだ。
第1回【「コメ5キロが2000円台に!」は本当か…スーパーを回る関係者が明かす意外な実情「最大の懸念は“6月暴落説”が現実となるか」】では、「コメ5キロが2000円台に下落した!」と一部メディアが大きく報じたにもかかわらず、首都圏のスーパーを回ってみると、意外にコメの価格は下がっていないことを詳細に報じている──。
デイリー新潮編集部
