Mozillaの新CEOに、これまでFirefoxブラウザの構築チームを率いてきたアンソニー・エンゾー=デメオ氏が就任しました。同氏はIT系ニュースサイトのThe Vergeに対し、「AIの台頭により信頼が損なわれつつある現状において、人々が信頼できるテクノロジー企業の存在が必要」と主張し、ブラウザ体験の中にAI機能を組み込みつつ、ユーザーの信頼と選択肢を重視する方針を示しています。

A first interview with Mozilla’s new CEO on AI, Firefox, and the web | The Verge

https://www.theverge.com/tech/845216/mozilla-ceo-anthony-enzor-demeo

エンゾー=デメオCEOはThe Vergeに対して、「最優先事項は依然として最高のブラウザを作ることであり、ブラウザこそが当社の核心的なビジネスです」と明言しています。Firefoxの月間ユーザー数は2億人に達し、特にモバイル版が成長していることから、エンゾー=デメオCEOは市場にまだ拡大の余地があると考えているとのこと。

また、エンゾー=デメオ氏は、Googleへの収益依存からの脱却は必要であるものの、ブラウザ事業そのものからの多角化は必ずしも必要ではないという考えを示しました。これは、あくまでブラウザ事業の枠内での収益化、具体的にはFirefoxに統合されるVPNやプライバシー保護サービスなどのサブスクリプション収入、そして広告や検索、そしてAI配置に関する契約を組み合わせることでGoogleからの脱却を目指すという方針です。



収益面だけで言えば、Firefox内で広告ブロッカーを無効化することでさらに1億5000万ドル(約233億円)の増収が見込めるとのこと。しかし、これはユーザーの権利を守るという組織の使命に反するため、実施しない方針だとエンゾー=デメオCEOは述べています。

AIについて、エンゾー=デメオCEOは「Mozillaには特定のモデルを推奨する動機がない」と明言。その上で、オープンソースやMozilla独自のプライベートなオプション、さらには他社の大規模モデルなど、多様な選択肢をFirefoxのAI機能として用意するとしています。

実際、MozillaはFirefoxに「AIウィンドウ」を導入し、ユーザーが複数のモデルから自由に選択したAIアシスタントとチャットしたりブラウジングを補助してもらったりできる機能を提供することを予告しています。

FirefoxにAIタスク用の「AIウィンドウ」が追加される予定 - GIGAZINE



エンゾー=デメオCEOはThe Vergeに対し、「Mozillaはオープンなウェブを大切にし、それを守りたいと考えており、オープンなウェブには新しいビジネスモデルが必要である」ということを繰り返し述べています。また、「いろいろなものがペイウォールの裏に行き、より閉じたものになっていくことを心配しています」と語り、インターネットのコンテンツビジネスは自分の戦いではないとしつつ、Mozillaはオープンでフリーなウェブの価値を信じている、という立場を示しました。