記事のポイント
ロレアルは、ニュージャージーに1.6億ドルを投資し、研究とイノベーションを強化した。
肌色や髪質の多様性に対応する製品開発を加速し、Z世代の需要に応えている。
バイオテクノロジーや美容機器の開発に注力し、業界の技術革新を牽引している。


ロレアルグループ(L’Oréal Groupe)の年間売上高約440億ドル(約6兆4748億円)のうち、4分の1を米国市場のみが占めている。ロレアルは、この市場の消費者に向けてさらに充実したサービスを提供できると考えている。2月27日、フランスの美容コングロマリットである同社は、ニュージャージー州に25万平方フィート(約2万3200平方メートル)の研究およびイノベーションセンターを全面的にオープンした。クラーク市に位置するこのセンターはフランス国外ではロレアル最大の施設である。

ロレアルはニュージャージー州の研究センターに1億6000万ドル(約235億6230万円)を投資しており、このセンターはブラジルや南アフリカなどの国々にある世界的な研究拠点のひとつに加わることになる。ロレアルは2022年にこの地域の既存のオフィススペースを活用して新センターの建設を開始し、2023年に従業員向けに開設したのち、2月末についに全面的にオープンした。

ロレアル・グループの研究・イノベーション・テクノロジー担当副CEO、バーバラ・ラバーノス氏は次のように述べている。「米国は美の未来を形作る上で決定的な役割を担っている。要求の厳しい多様な消費者と、世界をリードするイノベーションエコシステムを有する米国は、当社のビジョンを推進する上で理想的な環境である。このセンターは、画期的な新成分に関する上流の先端研究から、スケールアップに対応した下流の処方開発までを網羅し、高性能で安全かつ責任あるビューティソリューションを提供する、ロレアル独自のエンドツーエンドのイノベーションモデルを具現化したものだ」。

ニュージャージーに新R&Iハブ設立



ロレアル・ノースアメリカでチーフ イノベーション オフィサーを務めるパトリック・カレンバーグ氏は、同社の純売上高の3%が、ニュージャージーのセンターで見られるような研究とイノベーションに充てられていると述べた。新しい研究およびイノベーションハブには、ヘアケアからカラーコスメまで、すべての美容カテゴリーをカバーする2万6000平方フィート(約2416平方メートル)のモジュラーラボがあり、特にキールズ(Kiehl’s)やレッドケン(Redken)といった同グループの米国ブランドに重点を置く。

「米国は当社にとって非常に戦略的で重要な市場だ。当社の売上の4分の1を占めるが、もっとも重要なのは、真の人口増加と美容ビジネスにおける機会が予測される、唯一の先進国市場であるという点だ」とカレンバーグ氏は語った。

ロレアルは、ますます多様化し多文化化する米国の人々にリーチすることを重要な研究活動としている。同社によると、米国では2030年までにさらに1200万人の消費者が増え、その多くが複数の人種的な背景を持つとされている。現在、Z世代の50%がカーリーヘアであるとロレアルは指摘した。より多様な人種の人々に対してよりよいサービスを提供するためのロレアルの研究活動には、ファンデーションのシェード開発や、ストレートからカーリーヘアにいたる髪質の構造に関する研究などが含まれている。

ロレアルのR&I部門で消費者市場インサイト担当アシスタントバイスプレジデントを務めるティファニー・ギディンズ氏は、「こうした多文化の消費者は、特に米国において当社が獲得すべき重要なグループである」と語る。「これらの消費者が美容文化にとって非常に重要な存在だと認識している。美容の領域でトレンドを作り出しているのは、これらの消費者だ」。

ロレアルは、より多様な人種に対応する処方の研究だけでなく、長寿サプリメントや美容機器などの成長分野にも投資をしている。後者には、動作の不自由な人のメイクアップを補助するために設計されたハプタ(Hapta)が含まれており、今夏に発売される予定だ。ニュージャージー州の施設には、香りに対する感情的な反応やスキンケアの効能などに関するフィードバックを得るための消費者テスト施設も設置される。

ニュージャージーの拠点には、ロレアルの約1万人の米国人従業員に加えて、600人の科学者が勤務することになる。バイオテクノロジーのようなグリーンサイエンスも、競合他社との差別化を目指す同社にとって重要な成長分野となるだろう。

「美容業界は過去20年から30年の間にマーケティングイノベーションで成長してきたが、製品のイノベーションのレベルは非常に、非常に低い」と、ニュージャージーのセンターの開所式にてバイオテクノロジー企業デビュー(Debut)の創業者兼CEOのジョシュ・ブリットン氏は述べた。「その理由は、どこも同じ古い成分と同じ古い受託製造業者を使っているからだ。では、ブランドとしてどうやって際立つのか。新しい成分、新しいテクスチャー、新しい製品を発明しなければならない」。

[原文:L’Oréal Groupe invests in the US market with completion of $160 million research center]

EMILY JENSEN(翻訳:Maya Kishida、編集:坂本凪沙)