いったい何が ブランド の復活を成功させるのか?革新性と従業員の賛同を再び得るための戦略

記事のポイント
過去の失敗を正確に分析し、革新性を取り戻すことがブランド再起の要。
従業員がブランドの価値を共有し、伝道者となることが復活の成功に寄与。
ターゲット層のニーズに応じたマーケティングを展開し、ブランド復活を市場に伝える。
過去の失敗を正確に分析し、革新性を取り戻すことがブランド再起の要。
従業員がブランドの価値を共有し、伝道者となることが復活の成功に寄与。
ターゲット層のニーズに応じたマーケティングを展開し、ブランド復活を市場に伝える。
誰もが復活劇を求めている。では、その復活を成功させるものは、いったい何なのだろうか?
かつての栄光への回帰を構想する大手ブランド各社──それを夢見て、あるブランドは経営幹部を入れ替え(その代表がナイキ[Nike]だ。同社は先日、経営陣のトップにエリオット・ヒル氏を任命した)、あるブランドは長年の製品戦略を一新する(このアプローチの真っ只中にいるのがペロトン[Peloton]だ)。自分たちは再び軌道に乗りつつある。
ブランドの成功要因を見極める重要性
再起をかけるブランドがしなければならないのは、まず市場における自社のポジションを正しく評価し、何がいけなかったのかをしっかりと把握することだ。そう彼らは口をそろえる。簡単なことのように思えるかもしれないが、悪かったところを認めて、時代の中心へと戻る道筋を見つける作業は、決して楽なものではない。
クリエイティブエージェンシー、オーロラ(Aurora)で最高戦略およびクリエイティブ責任者を務めるバレリー・バウンズ氏は、「人間が神から与えられた、ひとつの大きな才能は、後知恵だ」と語る。オーロラはブランドの復活を専門としており、同社が考える「劇的変化」のためのプロダクトを提供している。
再起をかけるブランドの復活計画。その最初のステップについて聞くと、バウンズ氏はこう語った。「かつてはよく知られ、愛されていたが、いまは違う。だとしたら、それには理由がある。そのブランド愛を再び見つける必要がある。かつてそのブランドを有名にしたのは何なのか。そのブランドが愛されていたのはなぜなのか。そこに戻るのだ。どこで、なぜ間違ったのか。その問いかけと率直に向き合うのだ」。
さまざまなことがうまくいっていたころのことを材料に、製品や戦略をつくり直すのではない。そうではなく、ブランドのそもそもの成功要因は何だったのかを見極めることが重要だという。
革新性の再生と従業員の賛同が鍵
たとえば、かつてはその革新性で知られ、愛されていたブランドが、その成功に甘んじていたとしよう。そのような場合、そのブランドがやるべきは、これを正して、その革新性に再び命を吹き込むことだ。愛される理由や抱える課題はブランドによって異なる。当然、復活への道のりもブランドによって異なる。
イノベーションコンサルタント企業、サイベリア(Siberia)のマネージングパートナー、クリス・メレ氏は、「もちろん、オーディエンスや顧客がどのような層なのかを正しく把握しなければならない。それだけでなく、自社のコアプロダクト、コアサービスと、ブランドとしてのアイデンティティ、ブランドとしての信念も、しっかりと一致していなければならない」と語る。
そうしないかぎり、問題箇所の「穴をふさいで、応急処置をしているだけ」であり、「一時的な改善は見られるかもしれない」が、それでいつまでも持ち堪えられるわけではないと、同氏は付け加える。
復活劇の構想を練らなければならないところにまでブランドを追い込んだ原因は、いったい何なのか? その特定が終わったら、次のステップは、かつての地位へ返り咲くための戦略の実行だ。つまり、ブランドの名を世に知らしめたのが革新性なら、それを生き返らせることである。しかし、それだけでは十分ではない。
従業員と社内文化に力を与えることも必要だ。従業員がブランドにとって第一の伝道者であるケースは多いと、今回取材した幹部たちは述べる。従業員の賛同を再び得るための方法を見つけることは、復活が正しい方向へ進んでいるというサインであるという。
ランドー(Landor)でインサイトおよびアナリティクス担当エグゼクティブディレクターを務めるアンソニー・リバ氏は、「従業員は毎日、そのブランドを生き、呼吸している。復活の前も、途中も、その後も、この道のりをたどってきたのが彼らだ」と話す。
復活に関する賛同を従業員から得ることは、その復活を外の世界へ伝える最初のステップになり得るという。ブランドは「問題を無理やり解決しようとしている」わけではない。ブランドは「従業員が実際にブランドを現実世界に送り出せるようにしようとしている」のだ。
復活劇を必要とするところにまでブランドを追い込んだ、そもそもの問題。それへの対処を左右するのは、その問題そのものだ。首脳陣の入れ替えが必要な場合、ブランドがいまのトレンドに即したサービスの再活性化が必要な場合、新たなオーディエンスの発見が必要な場合、こうした問題のどれにも、やり方を変えて対処することになる。復活劇のタイムラインを決めるのは、その問題と、その問題の深刻さだ。だが、その問題への対処が完了すれば、鍵となるのは、必要な変化をブランドが遂げたことを消費者にはっきりと伝えることである。
オーディエンスにも目を向ける
「広告キャンペーンはパズルの最後のピースといっていい」と、メレ氏は語る。同氏が以前、ドミノ・ピザ(Domino’s)の復活に取り組んでいたときのことだった。同社がソースのレシピを変えて、それを明確に打ち出したところ、状況は一変したという。
「ブランドのオーディエンスはどんな人たちなのか? どうやって彼らのニーズに応えるのか? ブランドの信念は何なのか? どうやってコアプロダクトサービスを提供するのか? その分析が終わったら、次はコミュニケーション、あるいはマーケティングだ。そこに戻ってから、消費者にそれを再び伝えるのだ。だが、ビジネスの中心にあるものを変えずに、アピールしかしていなかったら、これもうまくはいかない」。
ブランドにとって、マーケターは全体のごく一部にすぎない。その一方で、多くの場合、何がいけなかったのかを経営幹部に示し、その問題の解決法を彼らに知らせるのに役立つデータやインサイトを入手できるのも彼らだ。マーケターを同席させて、経営幹部とデータやインサイトを共有させれば、それがブランドの復活に効果を発揮し、準備が整ったところでコミュニケーション戦略に反映することができる。そう今回取材した幹部たちは述べる。
ハンソン・ドッジ(Hanson Dodge)の最高戦略責任者を務めるマイク・ステファニアック氏は、「マーケターに必要なのは、進んで大振りする心意気だ。タブー、特に昔からの習慣や、よくある成功の方程式に挑む心意気だ」と語る。スタンリー(Stanley)は以前、ミレニアル世代とZ世代のオーディエンスをターゲットにして、従来のコアオーディエンスの外にもブランドを広げていきたいと考えていた。
その立案に力を貸したのがハンソン・ドッジだった。「それから、もし若いオーディエンスを求めているのなら、新たな消費者が自分たちのレガシーブランドを気に入ってくれるようになるインサイトが見つかるまでは、何もしなくていいという悠長な構えもダメだ」と話す。
[原文:Marketing Briefing: Inside the anatomy of a successful brand comeback]
Kristina Monllos(翻訳:ガリレオ、編集:坂本凪沙)
