スポニチ

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 将棋の第14期加古川青流戦の決勝3番勝負は14日、兵庫県加古川市の鶴林寺で第2局が指され、上野裕寿四段(21)が岡部怜央四段(25)に145手で勝利した。先勝した13日の第1局に続き対戦成績を2勝0敗とし、初優勝。第1期の船江恒平七段(37)以来の地元・加古川生まれの優勝者となった。

 「地元棋戦で優勝できてうれしい。今回決勝までこられたので優勝したいと思っていた」

 千日手指し直し局が、後手・岡部の一手損角換わりへ進んだ13日の第1局。「序盤の研究が深く、研究を外れても間違えない」。そう印象を語る岡部による、7月以来の公式戦16連勝(未放映のテレビ対局を除く)を止めると、第2局は先手・上野の矢倉になった。

 72手目、岡部が角銀交換へ踏み込んで、駒の損得よりスピード重視の斬り合いへ突入。最後は上野が25手詰めを読み切り、何度も形勢が入れ替わる熱戦を制した。

 上野は昨年10月、プロとなる四段に昇段し、同月31日の新人王戦で棋戦優勝した。そしてこの日の加古川青流戦。デビュー1年余りで2度目の棋戦優勝をかなえ、藤井聡太王将(22)=7冠=を超えるスピード記録となった。

 「他の棋戦ではいい結果を残せてない。新人王戦、加古川青流戦に星が集まった」

 16年10月、四段昇段した藤井は29連勝の新記録を樹立後、18年2月の朝日杯で棋戦初優勝。その後、2度目は同年10月の新人王戦。デビューから2年余りが経過していた。師匠の井上慶太九段(60)は「(決勝3番勝負の)2局は苦しい将棋だったが、粘り強く指して逆転してからは鮮やかに寄せ切った。決勝3番勝負で共に勝ちきるのだから、勝負強さもある」と称えた。

 全棋士参加棋戦であれば、優勝者は五段へ昇段する。一方で、四段や棋士養成機関・奨励会の三段リーグ上位者ら、若手に出場資格が限られる加古川青流戦では新人王戦同様、昇段規定に当てはまらない。四段昇段後、求められて書く揮毫(きごう)は「一路邁進」。今後の目標には「全棋士参加棋戦での本戦やリーグ入り」を掲げた。