Image: Geoff B Hall

プラセボ効果。薬じゃないのに薬だと思い込んで摂取すると、なんだか治った気がするという不思議な現象。誰もが知る有名な効果ですが、なぜ「効き目」があるのかは解明されていません。

解明に一歩前進!

プラセボ効果については、古くは18世紀からその効果が記されています。今までの実験では、脳の特定部分の動きが関連していることが立証されています。が、実際どのような働きしているのかは解明されていませんでした。

今回、マウス実験でプラセボ効果の解明を進めたのは、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の研究チームです。

マウス実験の内容

2グループのマウスを、繋がった2つの部屋で1週間飼育。スタートから数日は両方の部屋の床をポカポカにしました。

その後、1つの部屋の床をアッツアツにするも、もう1つの部屋は熱くないので、マウスはそちらに逃げることができました。最終日は、両方の部屋の床をアッツアツにしたものの、前日は熱くなかったほうの部屋に逃げることで、マウスは熱さの痛みから逃れられたと感じたようです。アッツアツの床で見られたジャンプや足を舐めるという行為はあまり見られず、これはプラセボ効果が発揮されたとみなされました。

この実験で重要なのは、実験マウスには事前に改造型ウイルスが注射されていたこと。これによって、脳の前帯状皮質という部分の特定神経細胞と他3つの部分とのつながりをモニタリングすることができました。3部分のうちの1つ、橋核という部分は運動スキルの学習に必要不可欠ですが、これまで痛みに関する働きは確認されていませんでした。が、マウスが部屋を移動したとき、前帯状皮質と橋核を繋ぐ神経細胞に反応が見られました。

そこで、感度テストを行なった新たなマウスでこの神経経路を人工的に活性化。すると、痛みに関連した行動(ジャンプや足舐め)をあまり見せませんでした。これは、この神経回路が、プラセボ効果による痛み緩和においてなんらかの働きをしていることを示唆しています。

研究チームは、痛みとは非常に複雑な現象であり、人間におけるプラセボ効果はマウスのそれよりさらに複雑な可能性があるとはしつつも、この研究が痛み緩和の新薬開発につながればと期待を寄せています。

研究論文はNatureに公開されています。

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