関連画像

写真拡大

皆さんの職場では、年末年始にイベントをおこなっていますか。中にはお正月に職場で餅つきをするところもあるようで、ネットでは「上半身筋肉痛」「腕と背筋使い果たした」などの声もありました。

一方、なにかと忙しく、社内イベントへの参加が難しいこともあるでしょう。弁護士ドットコムには「職場の会長に正月の餅つきに誘われ、断ったら嫌がらせをされた」という相談が寄せられています。

相談者の男性は、正月は忙しいため、会長からの餅つきの誘いを断りました。すると、会長は「嫁と相談する奴はダメだ」と言い、男性の仕事量を減らすよう上司に命じたそうです。

仕事が減れば残業も減るので、給料は下がってしまいます。男性は「仕事で失敗したわけでもなく、餅つきを断っただけでこの仕打ちは酷くないですか」と疑問に感じているようです。

ただ餅つきを断ったというだけで、処遇を変えるように命じるのはパワハラにあたるのでしょうか。村松由紀子弁護士に聞きました。

●パワハラにあたることは明らか

パワハラとは、(1)優越的な関係に基づいて(2)業務の適正な範囲を超えて行われ、(3)労働者の身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、または就業環境を害することをいいます。

相談者の男性の場合は、会長という優越的な立場にある人が、「嫁と相談する奴はダメだ」と言っただけではなく、実際に仕事量を減らすように上司に命じています。

これは、業務の適正な範囲を超えて行われておりますし、男性の就業環境を害していることから、パワハラにあたることは明らかです。会長という立場の人が、このような悪質なパワハラを行っている場合、会社内での解決は難しいかもしれません。実際の不利益も大きいので、男性としては、厚生労働省による労働相談窓口に相談するなど、外部の方の協力を得て解決した方が良いかもしれません。

ここまで極端な会社は、現在は少ないかもしれませんが、業務外のイベントでトラブルになることは珍しくありません。忘年会を含め業務時間外のイベントへの不参加に対し、業務上、不利益を与えることは認められないということを、会社側は肝に銘じておくべきでしょう。

【取材協力弁護士】
村松 由紀子(むらまつ・ゆきこ)弁護士
弁護士法人クローバーの代表弁護士。同法人には、弁護士4名が在籍する他、社会保険労務士4名、行政書士1名が所属。企業法務を得意とする。その他、交通事故をはじめとする事故、相続等の個人の問題を幅広く扱う。
事務所名:弁護士法人クローバー
事務所URL:https://clover.lawyer/