マイナポイントをPRする金子恭之総務相(当時)と広報キャラ「マイナちゃん」(写真・時事通信)

 マイナンバーカード普及のため、取得者に最大2万円ぶんのポイントが付与される「マイナポイント第2弾」。この事業には総務省が約1兆4000億円の予算を確保しているが、共同通信は8月27日、予算に多額の残余が生じる見込みだと報じた。

 新規取得者が伸びていないため、予算のうち約6000億円が余り、9月末の期限の延長もありえるという。

 8月25日、寺田稔総務相は、マイナンバーカードの申請率が5割を超えたことを明かしている。人口の半分がカードを持つまでに、2016年1月のマイナンバー制度開始から、6年半も要してしまったわけだ。

 カードの普及がなかなか進まないことに業を煮やした政府が、“ニンジン作戦” として、2020年から開始したのが「マイナポイント事業」だ。キャッシュレス決済サービスを通じて、ポイントを付与するもので、現在はその「第2弾」が実施されている。

「最初のマイナポイントのときは、カードの交付が一気に増えましたが、その効果は長続きしていません。第2弾は6月30日に始まり、この8月のカード申請数も順調に伸びているようですが、申し込み期限が9月末までとなっており、効果は限定的でしょう」(ITジャーナリスト)

 身分証や健康保険証にもなり、行政手続きがオンラインでできる上に、ポイントまでもらえる。それでも、なかなか普及しないのはなぜなのか。

「デジタル庁の資料によれば、マイナンバーカードの未取得理由でもっとも多いのが『情報流出が怖いから』で35.2%。次いで『申請方法が面倒だから』で31.4%、そして『マイナンバーカードにメリットを感じないから』の31.3%となっています。

 個人情報うんぬんや、面倒だというのは個人それぞれの考えですが、やはりメリットを感じないところが、普及が進まない最大の理由ではないかと思います」(同)

 SNSで最近マイナンバーカードを取得したという人を探してみると、

《まあもともと免許証持ってないので、マイナンバーカードが身分証明証になるのは実にありがたい。つくってよかった》

《ついに、マイナンバーカードGETした!やっと身分証明書持てる!嬉しい!私の証明書》

 と、身分証明書として取得したという声が圧倒的に多い。だとすれば、運転免許証を持っている人がカードを持つ必要を感じないとしても仕方がないだろう。

 ただし、こんな意見も多く見られる。

マイナンバーカード 買取業界では身分証明として使えない場所が多いのが現状よね》

《今住んでるとこの契約更新が来て、身分証明にマイナンバーカード使えないって契約書に書いてあるけどそこは使えるようにしとけよって思った》

《Appleの下取りのための本人確認にマイナンバーカード使えないの???住民票用意してもあと1つ身分証明書が足りないから詰みじゃん》

 意外にも、身分証としてマイナンバーカードが使えないことも多いのだという。

マイナンバーカードで本人確認ができない場面はまだまだあります。カードの裏面に記載されている個人番号の取り扱いには注意が必要で、そのリスクを回避したいためで、特に外国系の企業で多いようです。

 総務省では企業などに改善を要請していますが、まだ周知が徹底されていないのです。

 また、健康保険証として使えるとは言っても、導入している医療機関はまだ少ない。マイナポイントという目先のエサで釣るのではなく、本当の利便性を高めていくのが “筋” というものではないでしょうか」(同)

 政府は、2023年3月末までに「ほぼ全員が取得」を目指すと言うが、はたして――。