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性暴力被害にあったとして、伊藤詩織さんが元TBS記者のジャーナリスト・山口敬之さんを訴えていた裁判で、12月18日の東京地裁判決は、山口さんに330万円の賠償を命じる判決を言い渡した。

記者会見や法廷での尋問に毅然とした態度で臨んでいた伊藤さん。だが、判決後に開かれた報告集会で、支援者を前に、被害から4年たった今もPTSD(心的外傷後ストレス障害)に悩まされていると打ち明けた。

●「自分でも自分が理解できませんでした」

2019年7月、伊藤さんと山口さんの本人尋問が実施される10日前のこと。伊藤さんは自殺未遂をし、1〜2日入院したという。その時のことについて、こう振り返る。

「計画していたことじゃなくて、ふわっと足元を取られた。そんな感じだった。自分でも自分が理解できませんでした。急にそんな行動を起こすなんて」

「あなたは強いから」。支援者からはそんな言葉をかけられることがあるというが、伊藤さんは「いくら元気に見えていても、急に襲いかかってくる。それがやはり、トラウマ。特に性暴力のPTSDでなかなか理解されないところなんじゃないか」と話す。

当時、尋問が控えていた伊藤さんは、こうした事実が外に出るとマイナスに捉えられるのではないかと懸念し、近しい人にだけ相談した。今後どうすればいいのかアドバイスをもらい、「自分自身でも解決策を探しながら、民事裁判を終えることができました」と振り返った。

●声をあげる人にサポートを

性暴力被害は、PTSDになる確率が高い。

臨床の現場で犯罪被害者の支援をおこなってきた武蔵野大学の小西聖子教授(精神科医・臨床心理士)の講演では、小西教授が診断した性暴力被害者68人のうち約6割がPTSDと診断されたと報告された。

さらに、急性ストレス障害などPTSDと近縁の診断も加えると、8割近くが、PTSDと同様の症状を持っているという。早期の治療で症状は軽快するというが、長い間悩まされる人が多くいる。

「自分自身も民事裁判を通して、傷との向き合い方を知った」という伊藤さん。会場に「今後アクションを起こす人がいたら、皆さんサポートしてください」と呼びかけ、最後に感謝を述べた。

「今日言えることは、7月にダメかもしれないと思った自分に、こんな日が来る予定だよって伝えてあげられたらなと。こういう結果になると全く想像できなかったので嬉しい。ここまで生きてくることを手伝ってくれた周りの友人、サポーターのみなさまに本当に感謝の気持ちでいっぱいです」