「F35」追加購入へ、どうなる“国産機”開発の行方
戦闘機の開発は、それ自体がハイテクの塊であることはもちろんだが、民生分野への波及効果も無視できない。B787旅客機の製造技術はF2で培った複合材技術の恩恵が大きいとされ、高速道路のETC(料金自動収受システム)でも高速で移動する目標を瞬時に処理できるレーダー技術が使われている。
将来戦闘機は高速機動性やステルス性、無人操縦技術が想定されることを考えれば、一体成型複合材や超高速大容量通信、自動運転技術などの発展が期待できそうだ。
さらに見逃せないのが、心臓部のエンジン開発。F2導入の際も日本は国産の双発機開発を目指していたが、エンジンが間に合わず、米軍の単発機F16ベースの開発を余儀なくされた苦い経験がある。
今回、将来戦闘機用にIHIが開発した推力15トン級のXF9―1は、燃焼温度を従来の1000度Cから1800度Cに高めることで、ハイパワーと高機動性を実現。この1800度Cを達成する耐熱合金は既製品では不可能で、グループ企業の「IHIキャスティングス(東京都昭島市)の結晶制御鋳造と、溝を通じて冷却する独自のセラミックコアや複雑冷却鋳造で実現した」(IHI)という。
戦闘機など防衛装備品は生産数が少ない。下請けの部品加工や熱処理メーカーも含めると生産数量は年に数個となる。ティーチング費用やシステム設計費用の高さを考えると、ロボットや人工知能(AI)では対応は困難で、技能伝承はさらに難しさが伴う。「ちょっと触ったり見たりするだけで、欠陥がわかる。そんな名人技の伝承はマニュアルやデータベースでは無理」と、新明和工業の担当者は指摘する。
韓国やトルコ、インドなども自前戦闘機の開発に動いている。英国はテンペストの名称で戦闘機開発を急ぐ。共同開発を仮に行うにせよ、自前技術は不可欠。最新の戦闘機は各国とも情報開示を極度に制限する傾向にあり、自前技術がなければ米国製戦闘機を単に買わされるか、国防を依存する構造になりかねない。中国やロシアはステルス戦闘機などで軍事面の質的向上を急速に進めている。残された時間は少ない。
(文・嶋田歩)
