行政院のKolas Yotaka報道官

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(台北 28日 中央社)2025年をめどに脱原発の実現を目指してきた台湾。その廃止期限を設けなくなることが分かった。行政院(内閣)のKolas Yotaka(グラス・ユタカ)報道官が27日発表した。24日投開票された国民投票の結果を踏まえての決断だとしながらも、十分な電力供給が確保されるという前提の下、政府は依然再生可能エネルギーの開発に積極的に取り組むことができるとしている。

同国民投票は、政府が2025年までに全ての原発設備の停止を定めた条文の廃止に賛否を問うもの。投票の結果、廃止賛成が589万票に達し、反対を188万票上回った上で規定数(約494万票)を超えて成立した。台湾では、昨年夏、全土にわたる大規模な停電が発生。今年に入ってからは、大気汚染に伴う石炭火力発電所の石炭消費量減少で電力需給がひっ迫している。これらを背景に電力不足に対する国民の不安の声が噴出した。

台湾社会では2011年の東京電力福島第1原発事故以降、原発反対の声が高まり、政府に原発の建設停止や廃止を求める社会運動が相次いだ。原発廃止を公約に掲げる蔡英文政権も2016年5月の発足以来、原発の稼働停止を盛り込んだ法案の可決や再生可能エネルギー産業の推進などして脱原発に向かって本腰を入れてきた。

今後のエネルギー政策について行政院は与党党団(議員団)と意見交換してから改めて説明する方針。

台湾には計6基の原子炉があり、現在稼働しているのは第2原発2号機と第3原発1、2号機の計3基のみ。行政院(内閣)原子力委員会によると、現在、運転期間の延長が可能なのは第3原発のみで、それを望む場合、来年7月までに関連の書類提出が必要だという。

(顧セン/編集:荘麗玲)