ジャイアンツ・青木宣親【写真:田口有史】

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専門家が脳震盪の後遺症のリスクについて指摘

 ジャイアンツの青木宣親外野手は、9日(日本時間10日)のカブス戦で148キロの速球を頭部に受けて途中交代した。3−1で勝利した11日(日本時間12日)のアストロズ戦は大事を取って欠場し、ベンチでジャージを着込んだまま戦況を見つめたリードオフマン。ただ、チームがオフだった10日にMLBの定めた脳震盪テストをクリアしており、12日(日本時間13日)の本拠地アストロズ戦ではスタメン復帰する可能性が高まった。

 死球直後には脳震盪の症状を訴えていた青木。テストをクリアし、実戦復帰へのハードルを乗り越えたが、後遺症などのリスクについて、サッカー元日本代表MF中村俊輔(横浜Fマリノス)の専属トレーナーなどを務める入船しんもり鍼灸整骨院の新盛淳司院長に聞いた。

「脳震盪は現在スポーツ界で最も慎重な対応が迫られている症例の1つです。野球の死球や激突プレーだけでなく、アメフト、ラグビー、サッカーにおいても接触プレーによる脳震盪は大きな問題になっています。

 ブラジルのU−17チームの選手が競り合いで頭をぶつけて亡くなるという事故が報じられたばかりです。脳震盪は死につながる症状として、トレーナーの世界でも国際的に脳震盪に対する慎重な対応が叫ばれています」

 世界的にスポーツ界で高まる脳震盪に対する注意喚起について、新盛院長はこう語った。

最も恐ろしいのはセカンドインパクト

 カブスの若きエース、アリエッタの148キロの速球をヘルメットの右側に受けた青木は、試合後に吐き気などの症状を訴えていた。具体的に治療法は存在するのだろうか。

「特に治療法がないのです。まず安静です。頭痛、吐き気、そして、眠気という症状が取れれば、トレーニングを再開できます。サッカーの場合、日本サッカー協会が定めた脳震盪を受けた選手に対する復帰プロトコル(手順)が存在します。症状を和らげるために、1日ずつ対処法が決まっています。青木選手の場合にも、メジャーリーグやチームの脳震盪に対するプロトコルに沿って回復を目指すことになるものと思います」

 青木は米地元紙に「驚くほど元気」と報じられるなど、鉄人ぶりを披露しているが、最も恐ろしいのは短期間に2度目の衝撃を受ける、いわゆるセカンドインパクトだ。

「2度目には死につながる危険性もあるという報告も」

「地元のサッカークラブ、関東一部リーグのブリオベッカ浦安をチーフトレーナーとしてサポートしていますが、うちのチームにも6月下旬に競り合いで脳震盪の症状を訴えた選手がいました。一旦症状は収まったのですが、その2週間後にそこまで強くなかったのですが、またプレー中に頭を打ちました。

 すると、走ると頭が重くなるような症状が出ました。CTスキャンを含めた精密検査をしたのですが、異常は出ません。それでも、症状が取れませんので、1か月間休養を取ることになりました。2度目に悪化のリスクもある。2度目には死につながる危険性もあるという報告もされています。野球ではサッカー、アメフト、ラグビーのようなコンタクトが少ないという判断はあるかもしれません」

 新盛トレーナーはこう説明している。

 青木は6月に右足首に死球を受け、右足腓骨亀裂骨折で自身メジャー初となるオールスター出場のチャンスを惜しくも逃している。そして、今回は頭部にボールを受けた。しっかりと手順を踏んでからの復帰となるだけに、現時点で問題は存在しないが、次に死球やフェンス激突など同じ箇所に衝撃が加わるプレーがあれば、症状の悪化、後遺症のみならず、最悪の場合、死につながるリスクも存在するという。

 ガッツ溢れるプレースタイルで昨季のワールドシリーズ覇者を牽引してきた青木は、ナ・リーグ西地区首位ドジャースとのゲーム差2・5を逆転するために必要不可欠な存在。チームメートやブルース・ボウチー監督からも愛される「ノリ」は、2度目の脳震盪という重大な不安を振り払うような活躍を期待したい。

◇新盛淳司
(しんもり・じゅんじ)入船しんもり鍼灸整骨院、今川しんもり整骨院、クローバー鍼灸整骨院代表。柔道整復師、鍼灸師の資格を持ち、関節ニュートラル整体普及協会会員。サッカー元日本代表MF中村俊輔をセルティック時代から支える。ブリオベッカ浦安チーフトレーナーも務める。