日本外国特派員協会で中国大使として初めて会見した王毅駐日大使(撮影:吉川忠行)

写真拡大

中国の王毅駐日大使は24日、中国大使としては初めて日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見し、「A級戦犯の扱い方は完全に日本の内政問題ではない。A級戦犯は国際的にも裁かれた、侵略戦争の指揮者の象徴的な存在で、日中の政治的基盤や世界の秩序などに関わっている。民衆や一般の政治家に行くなと言ったことはなく、国家の最高指導者が参拝するのが問題。昔の傷に塩を塗られているようだ」と首相の靖国参拝を批判した。

 東シナ海のガス田開発をめぐる日中間の対立について、王大使は「中国側が進めているガス田の作業は、日本の主張するラインより離れた中国の海域で行っている」と話し、境界線についてそれぞれ異なった主張があるものの、中国は境界線の早期確定と、お互いの利益のための共同開発という大きな目標について日本側に提案していると説明した。

 増大する中国の軍事費については、「中国は経済建設を中心に進めている。確かに毎年、軍事予算は増えているが、国家予算に対する比率では下がっているのも事実」と述べた。

 ブッシュ大統領が「台湾は中国にとって民主主義のいいモデルになる」と発言したことについて問われると、王大使は「台湾問題の本質は、民主化するかどうかではなく、統一か分裂かということだ。1つの中国という原則を認めるのが対話の基盤で、その原則を認めればすべての問題が対話を通じて解決できる」と話した。

 1972年の日中国交正常化時に比べ、日本人の中国への印象が否定的になっていることをどう思うかとの質問に、「マスメディアの役割は大変だ。(今年)4月の反日デモの現場で、投石シーンはわずかだったが、メディアが何百回も繰り返し放送したので、見た人はそれがすべてと思う。中国は全面的な改革中の国で、いいところも改善すべきところもあるが、一部でなく全体的な中国を伝えてほしい」と記者団に注文した。【了】

■関連動画
11月24日動画ニュース