■2014ブラジルW杯アジア予選 日本×ヨルダン キム・ドンジン審判団評

アジアの審判員は皆、日本の試合を割り当てられたいという。
日本代表には欧州で活躍している選手が多く、技術、戦術的にもアジアでは突出している。普段、ハイレベルな試合を割り当てられていないアジアの審判員たちが、日本代表戦をビッグマッチと捉えるのは当然の流れだろう。
かつ、日本はフェアだと思われている。『中東の笛』などとアジアカップでは揶揄されたが、日本に対してネガティヴなイメージを持つ審判員は少ない。むしろ、オマーン戦、ヨルダン戦をみても、八百長的な意味ではなく、好意的な主審が多い。
だからこそ、西村雄一は「日本代表にはアジアにおいてスペイン代表のような存在になって欲しい」と語る(詳しくはFBRJ、もしくはSOCCER KOZO一号にて)。

1分、GKの体に競る格好になった前田のファウル。4分の長谷部へのホールドをしっかりとる。5分の競り合いは遅れて競っており、ファウルに思えるが、フィフティということか。
8分の吉田のカットはノーファウルにみえたが、足に影響したということだろう。

キム主審は、オマーン戦のイルマトフ主審より、厳しくファウルを見極める。
25分、前田にかわされた所をファウルで止めたアブダラ・ディーブに警告。早い段階でカードを出し、荒れるのを防ぐ。

直後、27分、大きな判定が起こる。
競り合い時、アブダラ・ディーブが腕を広げて長谷部にチャレンジ。当然、警告となるファウルだが、主審は見えていなかった。しかし、チーム審判はしっかりと見ていた。
この日の審判団には、南アフリカW杯で、チーム西村の副審を務めたチョン・ヘサンもいる。経験値の高いチームである。
キム主審はすぐに確認をとり、アブダラ・ディーブに遅れて警告を与え、二枚目で退場にする。うやむやにしない毅然としたナイスジャッジである。
また、異議を唱えるヨルダン選手ともしっかりとコミュニケーションをとるなど、安定したレフェリングをみせる。

“影響した、影響していない”の部分で、基準が分かり辛かったが、大きな判定の○×は妥当で、試合に影響もなかった。韓国の審判員からも、ウズベキスタン、日本に続けという強い気持ちを感じる。


最後に、「選手が1人倒れていても、笛が鳴るまではプレーを続ける。その判断はレフェリーの管轄なので、自分たちからプレーを止めることはない」
というザッケローニ監督の指示があったことも付け加えておきたい。

>>>採点、コメントへの返答やその他の試合やJリーグ担当審判員取材記など審判コンテンツはFBRJ(www.fbrj.jp)にて