モテない男性とモテない女性はどっちが悲惨?

写真拡大

 私たちは、「人生」というレールの上に敷かれた数々のイベント…結婚、就職、生活、常識、生きがいといった、色々なものに縛られながら生きています。節目では大きな判断をしなければなりませんが、そういうときには、決まって大きなストレスやプレッシャーがのしかかってきます。
 そのプレッシャーを跳ねのけてこそ、成長し、より良い人生を送れるのかもしれませんが、あまりにうまくいかない日々が続くと、この世界は、本当にがんばる価値があるのだろうか? なんて、悩んでしまうかもしれません。

 『生きてるだけでなぜ悪い?―哲学者と精神科医がすすめる幸せの処方箋』(中島義道、香山リカ/著、ビジネス社/刊)は、精神科医の香山リカさんと、哲学者の中島義道さんが、生きづらさに悩む若者をテーマに語り合った対談本です。

 例えば1章では、現代の若者の悩みのひとつである“イマドキの結婚”について語っています。
 若者たちが結婚について考えるとき、「やっぱりモテないと…」という問題意識が出てくるようです。社会全体としても、晩婚化は進んでいますが、原因のひとつに「相手がいないこと」があるとすると、「モテ」は、実は大きな問題なのかもしれません。

 この問題について、精神科医・香山リカさんと、哲学者・中島義道さんは、「モテない男性と、モテない女性はどっちが悲惨か?」という議題を通して話します。
 中島さんが「モテない女の方がキツいと思う。一般的に言って、男性は誘う方で、女性は誘われる方。男は誘うほうだから、誰からも声をかけられなくても、それほど屈辱ではないと思う。」と言うと、香山さんも「・・・女性は、経済力だけではなかなか男性を得ることはできませんね。もちろん、女性も知的魅力を手に入れられればよいのですが、どうしても外見的な要素が大きくて、その分、女性の方が大変なのではないかと思いますね。」と中島さんに同調。
 このように2人は、男女の違いを様々な切り口を通して議論を深めていきます。

 あるべき論でも常識論でもなく、精神科医と哲学者の2人が、それぞれのフィルターを通して見た世の中から感じとったことを語り尽くしています。読者は、この本に答えを見つけ出そうとするのではなく、2人の議論を通して、自分自身の答えを探し、自分の悩みの原因はどこにあるのか、探していって欲しいと思います。
読む新刊ラジオ第552回:本書をダイジェストにしてラジオ形式で配信中!




【関連記事】 元記事はこちら