中国戦、香港戦と、東アジア選手権の2試合を消化した。その試合内容と結果、そしてそれを受けての日本代表を取り巻く空気は皆さんよくご存知のことだろう。インターネット上では「解任」という単語が頻発し、新聞にもいよいよネガティブな記事が目立つようになっているね。

日本代表は今確実に追い込まれている。3試合連続でスタンドに空席が目立ち、慣れていないブーイングを受け、焦りが出ている。何より岡田監督に余裕がなくなってしまった。その結果、香港とは感情的な試合になり、レベルの差を踏まえた戦いを見せることができなかった。

日本のサッカーが現在危険な時期に入っているのは誰の目にも明らかだ。この悪い流れはもう止められないだろうね。日本のサッカー界はバラバラになっている。

こうなったのには、いろいろなファクターがある。ピッチ上のサッカーだけの問題じゃない。
その中でももっとも大きなファクターは、ここ3試合の試合後にも如実に表れているよ。組織のトップの問題だ。犬飼会長は、中国戦、香港戦後に観客からブーイングが起きたことに対して、それぞれ「もっとブーイングをしてほしい」「見に来た人を楽しませるサッカーをしないと」とコメントした。

すごく無責任な発言だよ。まるで他人事じゃないか。ブーイングは、サッカー界のトップであるあなたに向けられているんですよと、思わず突っ込みたくなる。2つ目のコメントは、責任を監督と選手に転嫁しているとしか思えないね。

会長は、観客が減ってきている現状をどう捉えているのだろうか。お客さんを増やすための努力を、あなたはしてきたのか? と問いたい気分だ。

良いときは自分の手柄で、悪いときは他人のせい。社長の姿勢がこれでは、会社は良くならない。今まで何度も述べてきたけど、サッカー協会は組織としてのあり方に、大きな問題がある。監督だけ代えればいいってもんじゃないよ。

こんなときだからこそ、今どうするべきなのか、を考えることが大事だ。ピッチ上だけでなく、協会も、メディアも、そしてファンも、今何をすべきか。協会は自分たちのあり方がこれでいいのか、メディアはその報道姿勢に誤りはないか、ファンは何を求めどんな声を上げるべきか、それぞれ考える必要がある。残り4か月の話をしているんじゃないよ。必要なのはその先を見据えたビジョン。南アフリカ大会の後は、もっとひどい状況になるだろうからね。(了)

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セルジオ越後

セルジオ越後(せるじおえちご)

サッカー解説でお馴染みのセルジオ氏による辛口コラム。