「人が輝けば、医院はもっと輝く」
秋田の歯科医師が、20年かけて見つけた“選ばれる経営”の本質
令和の歯科医院経営は、いま大きな転換期にある。
供給過剰、人材不足、AIの台頭。
複合する経営課題のなかで、ひとつの問いに静かに向き合い続けてきた歯科医師がいる。
秋田の地で20年以上クリニックを営み続けてきた、医療法人あおば 理事長・三浦利之氏である。
なぜ、医院は選ばれなくなったのか。
なぜ、スタッフは定着しないのか。
地域に必要とされる医院とは、何なのか。
本書『患者がファンになる歯科医院のつくり方』には、その問いへの三浦氏なりの答えが、静かに、しかし揺るがぬ確信とともに記されている。
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歯科医師としてのキャリアを始めた頃、三浦利之氏は「いい治療をしていれば、患者さんは自然についてくる」と信じていた。
岩手医科大学歯学部を卒業し、盛岡と秋田で勤務医を経験。
技術を磨き、最新の治療法を学び、痛みの少ない処置を提供することに全力を注いできた。
平成16年4月、秋田の地に「とし歯科クリニック」を開院。
技術への情熱と、地域に貢献したいという思いを抱えてスタートを切った。
しかし、開業してからの数年は、決して順風満帆ではなかった。
患者さんが来院されない日の不安。
スタッフが辞めていく寂しさ。
思うように経営が回らない焦り。
臨床力だけでは、医院は成長しない。
その現実を、何度も突きつけられた。
何が足りないのか。
その問いと向き合うことから、三浦氏の20年は始まった。
【衛生士が、教えてくれた】
開業から数年が経ったある日、長年通っている患者に、三浦氏は何気なく尋ねた。
「なぜ、ずっとここに通ってくださっているのですか」
その問いに、患者は迷いなく答えた。
「衛生士さんが、私のことをよく分かってくれているからですよ」
衝撃だった。
患者がファンになっているのは、自分の治療技術だけではなかった。
衛生士との関係性そのものだった。
それまで三浦氏は、「院長は医院の主役である」と考えていた。
技術を磨き、判断を下し、医院を引っ張る存在。
それが院長の役割だと思っていた。
しかし、この一言で、その認識は大きく変わった。
医院の主役は、院長だけではない。
患者と日々向き合い、丁寧に対話し、ともに健康を支えていく歯科衛生士こそが、医院の価値をつくっている。
この意識転換が、三浦氏のクリニック経営を変える出発点になった。
【チーム医療という、もう一つの答え】
「歯科衛生士が主役」
それは単なるスローガンではなかった。
三浦氏は、その思想を形にするための仕組みづくりに、地道に取り組み続けた。
衛生士の研修プログラムを体系化し、段階的に責任範囲を広げていく。
外部研修への参加を支援し、学んだ内容を院内で共有する。
業務分担と権限委譲を進め、メインテナンスや患者教育において、衛生士が専門性を発揮できる環境を整えていった。
衛生士が主役となり、ドクターが支え、受付スタッフが医院の顔となる。
一人ひとりが専門性を発揮しながら、互いに補完し合う。
それが、三浦氏が目指したチーム医療の姿だった。
そして、このチーム医療は、患者との関係性にも変化をもたらした。
初診の患者に対して、必ず歯科衛生士がカウンセリングを行う。
診療台ではなく、専用のカウンセリングスペースで、時間をかけて主訴、生活背景、価値観をうかがう。
患者は、自分の言葉で話す。
そのなかで、本当に望んでいるものが見えてくる。
治療結果だけではなく、治療体験のすべてが評価される時代。
三浦氏のクリニックは、その変化に向き合い、対話を中核に据えた医院へと進化していった。
【地域に必要とされる、ということ】
クリニックの経営が安定してきた頃、三浦氏はもう一つの問いに向き合い始めた。
歯科医院は、誰のためにあるのか。
日々来院してくださる目の前の患者のためであることは、もちろん間違いない。
しかし、それだけではない。
日本社会は急速な高齢化を迎えている。
誤嚥性肺炎の予防、糖尿病と歯周病の関係、認知症と咀嚼機能、フレイル予防における口腔機能の役割。
口腔の健康と全身の健康のつながりは、年々重要性を増している。
歯科医院は、もはや「歯を治す場所」だけではない。
地域住民の全身の健康を支える、地域医療の基盤でもある。
この自覚を持ったとき、三浦氏の経営判断は変わった。
地域の医科クリニックとの連携体制づくり。
糖尿病患者の歯周病管理。
脳梗塞後のリハビリと連動する口腔機能回復。
要介護高齢者への訪問口腔ケア。
連携医療の輪を、着実に広げていった。
地元小学校での歯磨き指導も継続している。
すぐに患者紹介につながるわけではない。
しかし、地域との関係性は、いざというときに信頼として返ってくる。
医療法人あおばは、いつしか地域の「公器」としての役割を担うようになっていた。
【AI時代の、新しい挑戦】
歯科衛生士が主役のチーム医療と、地域に根ざした経営。
この二つの柱を築き上げた三浦氏は、現状にとどまることをよしとしなかった。
ここ数年、生成AIをはじめとするテクノロジーが急速に進化している。
歯科医療の現場でも、AIの活用は今や「特別な取り組み」ではなく、「経営の前提」になりつつある。
三浦氏は、これを脅威ではなく機会と捉えた。
生成AIを使った文書作成支援。
画像診断支援AIによる見落とし防止。
予約管理と問い合わせ対応の自動化。
音声認識による電子カルテ入力。
医療現場で活用できるAIツールは、すでに実用段階にある。
しかし、三浦氏が提唱するのは単なる「AI導入」ではない。
「AI人材化」という考え方である。
AI担当の専任スタッフを置くのではなく、全員が日常的にAIを使いこなす組織。
AIを使うのは、人がより人間らしい仕事に集中するため。
AIに任せるのはルール化できる作業。
人が担うのは、共感と判断の領域。
この使い分けが、これからの医療経営の競争力の源泉になる。
テクノロジーが進化すればするほど、人間が果たすべき役割は、より人間的なものに集約されていく。
AIを使いこなしながら、人が輝く場所をつくる。
三浦氏が目指す医院経営の最前線は、いまそこにある。
【一冊の本に込めた、20年の物語】
本書『患者がファンになる歯科医院のつくり方』は、三浦利之氏の20年間が凝縮された一冊である。
開業当初の不安。
スタッフが辞めていった苦しみ。
患者の本音と向き合う厳しさ。
衛生士に教えられた気づき。
チーム医療の試行錯誤。
地域との対話。
AI時代への挑戦。
そのすべてが、属人的なノウハウではなく、「再現可能な経営フレームワーク」として丁寧に体系化されている。
歯科医院経営の現場で奮闘するすべての院長、勤務医、歯科衛生士、医療法人マネジメント層、そして地域医療を支えるすべての関係者に、本書は静かに語りかける。
医院を成長させているのは、治療技術だけではない。
患者さんに寄り添い、スタッフを育て、地域とつながり続ける。
その積み重ねこそが、長く愛され、選ばれ続ける医院をつくっていく。
スタッフが輝けば、患者さんがやってくる。
患者さんが輝けば、医院は地域に愛される。
地域が輝けば、医院で働く意味が深まり、スタッフはさらに輝く。
この循環をつくる経営の本質を、明日からの一歩につなげる。
そんな実務書が、いま全国の歯科医院経営者の手に届けられようとしている。
【書誌情報】
書名:患者がファンになる歯科医院のつくり方
副題:チーム医療で実現する選ばれるクリニック経営
著者:三浦 利之
発行:ドラゴン出版
形式:Amazon Kindle版/ペーパーバック版
発売日:2026年 春
頁数:74ページ
URL:https://www.amazon.co.jp/dp/B0GZBBS12J( https://www.amazon.co.jp/dp/B0GZBBS12J )
医療法人あおば 理事長/とし歯科クリニック 院長
三浦 利之