ここ12試合で12ゴールと絶好調のカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)。25日に再開されるユーロ2012予選でも活躍が期待されるが、前日24日付のレキップ紙には、大変身のきっかけとなったある出来事が語られている。

 それは1月22日のことだった。同じFWのイグアインがケガで長期離脱しているにもかかわらず、なかなか出番をもらえないベンゼマは、意を決してモウリーニョ監督に直訴した。

 ベンゼマは「監督、話したいことがあります」と切り出し、「僕は試合に出る必要がある。僕にチャンスを下さい。自分が誰なのか証明します」と訴えたという。このベンゼマの姿勢に好感をもったモウリーニョ監督は、翌日のマヨルカ戦(第20節)に先発で起用、ベンゼマもそれに応えてチーム唯一のゴールで勝利に貢献した。

 つづくセビージャ戦(国王杯準決勝ファーストレグ)でも唯一の得点をあげ大いに存在をアピールした。その後はスタメンの座を確保して自信を取り戻し、毎試合のようにゴールを量産している。リーガでの得点数も昨シーズンの8ゴールをすでに2つ上回った。

 リヨンでは2シーズンで54ゴールをあげるなど若くして天才ストライカーともてはやされたベンゼマに対して、モウリーニョ監督の目は厳しかった。練習態度などに“ダメ出し”をつづけて、早熟の天才の“本気”を辛抱強く待ち、ついにそれを引き出すことに成功した。

 ただしベンゼマも安心はできない。23日には、イグアインが練習に合流したと報じられた。チャンピオンズリーグ、バルセロナとのクラシコといった大舞台に立つ前に、モウリーニョ監督からまだ試練を与えられる可能性はある。