国会が閉幕、焦点は8~9月の内閣改造・党役員人事へ 強権路線か、総裁選に向けたバランス人事か
半年近くにわたった特別国会が閉会し、高市早苗首相は夏から秋にかけて内閣改造・党役員人事行う検討に入っている。主な焦点は、鈴木俊一幹事長の処遇、そしてポスト高市候補や維新の処遇で、来年秋に控える総裁選をにらんだ人事となりそうだ。
2026年、日本を動かす「高市首相の奈良コネクション」とは何か
高市氏が自民党総裁・首相になった昨年10月の組閣・党役員人事では、高市政権発足の立役者となった麻生太郎氏に配慮した布陣となったのが特徴的だった。その象徴が、麻生氏の義弟である鈴木氏の幹事長就任だ。
ただ、鈴木氏は財務相の経験もある財政規律派として知られ、消費減税を進める積極財政派の高市首相とは距離がある。衆院解散をめぐっても当初、鈴木氏は「聞いていない」と激怒。2人の関係は決して良好とはいえず、永田町では鈴木幹事長の交代もささやかれる。
しかし、鈴木氏を交代させると、後ろ盾である麻生氏の不満が高まることは必至で、総裁選で麻生派票が離れるリスクがある。
総裁選を見据えて考えなければならないもう一つの要素が、ポスト高市候補の処遇だ。
高市首相は、昨年の総裁選後、自身と戦った小林鷹之政調会長、小泉進次郎防衛相、茂木敏充外相、林芳正総務相といったポスト高市候補を党役員や閣僚として処遇。茂木氏は「重要ポストの外相なら引き受けてもいい」と周囲に語り、小泉氏も首相を目指すうえで外交・防衛の経験を積んでおく必要があると考えた。
林氏は次回も総裁選に出馬したい意向で、党員票の開拓が課題。「地方を回れるポストなら」と希望し、地方自治を所管する総務相になっていた。
維新も望む総務相ポストは…
政権発足当初、こうした人事はポスト高市候補を取り込み、党内融和を演出したい高市首相と、総裁選に向けて実績を積みたいポスト高市候補の双方の思惑が一致していた形だが、総裁選の1年前の人事となると事情が変わってくる。
「ポスト高市候補は、閣内にいると総裁選に出づらくなるので、無役を望む人も出てくる可能性がある。とくに林氏や茂木氏は、年齢を考えても次の総裁選がラストチャンスかもしれない。ポスト高市候補が無役となると、いよいよ総裁選に向けて本格的に動くだろう」(自民関係者)
そんな林氏が務めている総務相ポストは、今回閣僚を出す意向の維新も望んでいるポストだが、党内からは「維新にいきなり重要ポストを任せていいのか。そんな能力のある議員はいない」と懸念の声も上がる。
特別国会終盤では、議員定数削減など維新の求める法案をめぐって国会運営が難航したことから、党内からは「維新の法案のせいで国会運営がめちゃくちゃになった。高市官邸はなぜそこまで維新に振り回されるのか」(自民ベテラン)と、維新や、維新に配慮する高市首相への不満も高まっており、維新の処遇次第では党内の不評を買う恐れがある。
衆院選で大勝した後、「強権的」ともされる国会運営を行い、自身の意に沿わない国対幹部や参院幹部の交代を模索した時期もあった高市首相。一方で、内閣支持率が下がっている中、国民人気だけで強権的に政権・党運営を行い、求心力を維持することは難しくなりつつあるのも事実だ。
各方面に配慮したバランスのとれた人事を行うことで、党内基盤が弱い高市首相が、総裁選に向けて党内の求心力を高めるのか。「強権」スタイルで高市カラーを打ち出した人事を行うのか。自民議員との会食も少なく、「何を考えているか分からない」(自民ベテラン)と言われる高市首相の頭の中にある人事構想はいかに…。
文/中村まほ 内外タイムス

