気のせいじゃない「夏だる」を訴える人が全国で急増中…!湿気・台風・猛暑の《トリプルパンチ》で自律神経が壊れる
天気の移り変わりが不調を招く
気温が上がってムシムシするこの季節、ひどく体にダルさを覚える。頭が重くて、食欲もあまり湧かない……梅雨から夏の初めにかけて、こういった不調を経験している人は少なくないはずだ。
とりわけ今年はそのような症状を訴える人が続出している。せたがや内科・神経内科クリニック院長の久手堅司氏が原因を解説する。
「昨年は例年と比較しても梅雨明けが驚くほど早く、また雨も少ない『空梅雨』でした。ところが今年はすでに台風6〜8号と3つもの台風が上陸・接近していて、天気の移り変わりが非常に激しい。それにともなった湿度の乱高下が、さまざまな体調不良をもたらしているのです」
「夏だる」や「梅雨だる」とも呼べるこの時期の体の不調は、天候の変化が引き起こす。湿度が60〜70%を超えると不快指数が高まり、体にも影響が出始めるのだ。
湿度が高まると汗をかきにくくなり、体から出ていく水分の量は減っていく。人間は汗とともに熱を外に逃がして体温を調節するが、発汗作用が働かなくなると体内に熱がこもってしまい、頭痛やダルさなどを引き起こすわけだ。とくに年齢を重ねると、汗腺の機能が衰えてますます汗をかきにくくなるため、年配の人は不調を感じやすい。
加えて、この時期特有の気象条件がさらなる症状を招く。中部大学教授で、気象の変化によって体調を崩す「気象病」に詳しい佐藤純氏が話す。
「湿度だけでなく、台風や梅雨前線などによる気圧の変化も不調をもたらします。近年の夏は、線状降水帯が発生したりゲリラ豪雨が生じたりと、かつてよりも天気の移り変わりが激しさを増しているため、気圧の上がり下がりも大きくなっている。気圧の急激な変化が、自律神経を乱してしまうのです」
耳マッサージで「夏だる」を吹き飛ばす
自律神経とは、自分の意識とは無関係に呼吸や心拍といった体の機能を自動調節してくれる神経のことで、乱れると倦怠感や頭痛、めまいといった症状が引き起こされる。しかも自律神経に悪影響を及ぼすのは、気圧だけに限らない。佐藤氏が続ける。
「この時期は寒暖差が激しく、雨が降った翌日にスカッと晴れると、たった一日で気温が10℃近く変わることも珍しくありません。気温が急に7℃以上変わると、体調に悪影響を及ぼすという研究結果もある。この気温の差も、体調不良の一因でしょう」
さまざまな気象条件が絡み合って生じるこの時期のダルさを乗り越えるには、マッサージやツボ押しといった、すぐにできるセルフケアが有用だ。佐藤氏は内耳を刺激して自律神経を整える「くるくる耳マッサージ」を薦める(図を参照)。
「耳の中にある内耳は気圧を感じるセンサーのような働きをしていて、ここが過敏な人は低気圧になると体調を崩しやすい。そこで耳をマッサージすることで、血液やリンパの流れが改善されて自律神経が整います」
また耳の周りには、神経系に作用するツボがいくつもある。中でも耳の上部、軟骨の内側にある「神門(しんもん)」は自律神経を整えてくれるので、5秒かけてゆっくり押すのを左右5〜10回ずつ、それを1日3セットくり返すといい。
「足の裏にある『湧泉(ゆうせん)』も、血行を促進したり疲労やむくみをやわらげたりする働きがあります。足の指を曲げたときにできる、くぼみの部分を押してみてください」(前出の久手堅氏)
自律神経の乱れは体全体に作用する
気象による夏のダルさは、高血圧や糖尿病といった持病を抱えているとさらに悪化しかねない。済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜氏が解説する。
「糖尿病が進んで、自律神経にダメージを与える『糖尿病性自律神経障害』を合併すると、めまいや胃もたれが生じます。こういった持病を抱えている患者さんの場合、天候による自律神経の乱れが増幅されて、さらに体調が悪化しかねません。
また人間は汗をうまくかけないと、皮膚の血管を広げて血流量を増やすことで、体温を下げようとします。ただし高血圧で動脈硬化が進んだ人だと、血流量を上げようとしてもなかなか上がらず、自律神経が過剰に働いて不安定になり、ますます疲労感を覚えてしまうでしょう」
脳梗塞や脳出血などの既往歴がある人、あるいは偏頭痛や更年期障害を抱えている人は、逆に湿度や気圧によって発作や症状が出やすくなる。
前出の佐藤氏いわく、「自律神経の乱れは体全体に作用するため、ほぼすべての病気が影響を受けるといっても過言ではない」ほど、幅広い人が悪影響を被るのだ。
加えて曇りや雨の日が続き日照時間が減ると、日光を浴びることで分泌されるホルモン・セロトニンの量も減っていく。俗に「幸せホルモン」とも呼ばれるセロトニンには心を安定させる働きがあるため、分泌量が少なくなると、体調のみならず気分まで落ち込んでいき、抑うつ状態になりやすくなる。
【後編記事】『「夏のダルさ」は“アサリの味噌汁”で吹き飛ばす…湿度や気圧に負けないカラダの「上手なつくり方」』へつづく。
「週刊現代」2026年7月20日号より

