最先端の「荷さばき所」で見えた!水産業の未来【徳島】
阿南市の椿泊漁港に県が整備を進めていた、県立の「荷さばき所」が2026年5月に完成しました。
魚の鮮度を保ち、販売価格アップを目指す「荷さばき所」の最新技術にカメラが迫りました。
(記者)
「時刻は午前4時、漁を終えたばかりの船から、新鮮なハモが次々と水揚げされています」
県の特産品、夏の味覚「ハモ」。
阿南市の椿泊漁港はその一大産地です。
漁港にはつきもの。
横取りを狙うアオサギが現れました。
それもそのハズ、そこには鳥の侵入を防ぐネットが張り巡らされているのです。
水揚げされた魚はベルトコンベアーで、ネットの奥へと運ばれていきます。
この「閉鎖型」の構造こそが、新たな荷さばき所の特徴のひとつです。
5月15日に開所した「県立椿泊漁港荷さばき所」。
椿泊漁港で水揚げされる水産物の鮮度の維持と安全な供給を目的に、県が新たに整備しました。
延べ床面積は約2800平方メートルと、従来施設の2.5倍。
総事業費は約30億円です。
(記者)
「新しい荷さばき所、衛生管理が徹底されています」
水揚げされた魚を仕分けするエリアに入るには、手洗いや消毒が義務付けられているほか、帽子や長靴の着用など高い衛生管理が求められます。
(記者)
「まるで食品工場のようになっています」
広々とした施設内ですが、中で働く人の姿はまばらです。
「上がタイの大」
「冷(蔵)の1番やな、タイの大は」
魚は端末によって自動で計量され、種類や大きさごとに選別。
次々とベルトコンベアーで運ばれていきます。
これまで魚は人の手で運ばれ、床に直に置かれていました。
しかし、こちらでは人の手がほとんど触れない仕組みを構築。
高い衛生管理と従業員の負担軽減を、同時に実現しています。
(椿泊漁協・野々宮誠さん)
「手間が一気に省けた。入れるだけで良い。漁師も年配の人が多いので、こういうのは良い」
最先端の施設を整備した県の狙いとは。
(県農林水産部生産基盤課・若山健一 課長)
「漁業者が減っている。持続可能な水産業とするためには、県が先導する必要がある」
「先進の設備を整え、魚の価格を上げる。それが漁業者に還元される仕組みをつくるのが一番の狙い」
その最先端の舞台裏を、特別に見せてもらいました。
(記者)
「この部屋は何?」
(県農林水産部生産基盤課・若山健一 課長)
「海水をくみ上げ、魚の処理をするための水を作っている部屋」
いけすなどで使用される海水には、特別な加工が施されています。
(県農林水産部生産基盤課・若山健一 課長)
「ウルトラファインバブルを発生させる装置。今回試験的に入れて、さらなる高度衛生処理を目指す」
ここで使用される海水はすべて、微細な酸素の泡を含んだ「ウルトラファインバブル水」です。
シャワーヘッドなどでも注目されるこの技術は、薬剤を使わずに高い洗浄力を発揮するとされています。
魚の細胞活性化や、汚れ・血合いの吸着、匂いの除去などが期待されています。
「竹内313両方いった」
さらに、競りの方法も最先端へと進化しました。
昔ながらの大声で競り合う姿はなく、導入された「電子入札システム」により、仲買人たちはタブレット端末を手に次々と競り落とします。
その結果は、前方の大型モニターに即座に反映されます。
(仲買人)
「便利ですよ、入札時間が短縮されたし仕事ははやい」
(椿泊漁協・野々宮誠さん)
「良いですね、こういう施設にしているところなかなかない」
「徳島県だけじゃなく、全国に出しても恥ずかしくない期待は込めています」
椿泊をはじめ、阿南市内7つの漁協による漁獲量は、県内シェアの25%を占める一大拠点です。
県は将来的に、県南エリアの水揚げをこの「荷さばき所」に集約することを目指しています。
質と量を揃えることで、県産水産物の高値での安定取引を狙います。
(県農林水産部生産基盤課・若山健一 課長)
「漁師の数も減ってきている。それぞれの漁協で出荷していてロットがまとまらず、価格競争に弱い面がある」
「ここは荷を集約して、ロットを大きくし価格競争に勝っていく、県南の拠点となるような仕組みを県も一緒に作っていこうと」
高齢化や後継者不足など、さまざまな課題に直面する中、県が仕掛ける「攻めの水産事業」。
この最新施設が、今後の県内水産業に新たな明かりを灯すのか。
注目が集まります。
