「髪の長い女性の霊が...」関西ナンバーワンの特殊清掃業者が経験した「身の毛もよだつ恐怖体験」

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「普通ではない物件」

いわゆる事故物件の清掃や遺品整理、片づけ困難なゴミ屋敷の清掃などを一手に請け負っている「関西クリーンサービス」。同社の従業員らが向き合ってきたのは、異臭や体液が充満した部屋や、いくら捨てても終わりのないゴミの山など、過酷なものばかり。身の毛もよだつような恐怖体験もあった。7月2日に発売された『特殊清掃員が見た怖い部屋』(関西クリーンサービス著・Gakken)から一部を抜粋・再編集してお届けする。

ある日、母親と娘の親子が会社を訪ねてきた。大阪府に相続で引き継いだ物件があるという。遠縁の相続で回ってきた物件で、親戚が次々と相続放棄をしたため、自動的に回ってきたそうで、かれこれ20年以上、空き家のまま放置されていたという。ときどき、ホームレスが住んでいる」と通報があったり、「野良猫が出入りしている」と苦情が入ったりしており、役所からもなんとかしてくれと連絡が来るとのことで、「物件を処分したい」という相談だった。

本来なら近所の不動産屋に相談すればいい話だ。だが、関西クリーンサービスに相談に来る時点で「普通ではない物件」であることは容易に想像がついた。

「なぜ、うちに?」

親子は少し声を落として答えた 。

「あの家に行くと“出る”んです」

親子は何度かその物件を見に行ったことがあるというが、行くたびに「髪の長い女性の霊」に遭遇するというのだ。母も娘も霊感はないのに、同じ女性を目撃するという。つい1週間前も、中にある荷物を確認しようと物件を訪ねたが、窓から中を覗くとまたその女性の霊がいたそうだ。怖くて家の中に入ることができず、そのまま帰宅。そして帰り道で自動車事故を起こしたという。

仏壇ひとつに24人の名前が

それが、霊のせいなのかはわからないが、「気味が悪すぎる。もう関わりたくない。なんとか処分してほしい」。親子はそう訴えた。

親子と一緒に物件を見に行くことにした。2階建ての木造住宅で長屋のようなつくりだ。築50年ほど。親子は家の前までは来たが、恐怖で中に入ることはできなかった。中はゴミ屋敷状態だった。20年以上、誰も住んでいないはずなのだが、20年前のゴミとは思えないものもあった。ホームレスが住んでいたとの通報があったというから、そのせいかもしれない。あるものに目が留まった。壁にかけられた遺影だ。全部で8人分ある。亀澤はスマートフォンで写真を撮り、外で待機している親子に見せた。

「この方たち、ご存知ですか」

「知りません。誰も知りません」

古い仏壇もあった。昭和初期のものではないかと思われる年季の入ったものだった。仏壇の前には、過去帳が散乱していた。過去帳とは亡くなった人の名前や没年月日を記録する帳面だ。この仏壇に誰を供養しているのかを示す手帳のようなもので、四角い手のひらサイズで蛇腹状になっており、広げると3メートルほどになる。それが3冊もあった。24人ほどの名前が書かれていた。

仏壇一つに24人というのは見たことがない。通常であれば最大でも7人程度だ。家の中をひと通り回り、異常がないのを確認してから外にいる親子に言った。

「大丈夫ですから、入ってきてください」

親子は恐る恐る中に入り、過去帳を確認した。誰も知らないと言った。この日は誰も霊を見なかった。しかし、この日から母親が寝込んだ。体調が悪化し、起き上がれない状態だという。「やはり、あの家はおかしい」。親子はそう言った。「安くてもいい。ただでもいい。とにかく処分したい」。一刻も早く手放したかった。関西クリーンサービスはこの物件を買い取ることにした。