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 ◇遠かった最高の景色(2)

 ブラジル戦の敗戦から一夜明けた6月30日、ヒューストン市内のホテルでDF冨安が発した言葉が重く響いた。日本の現状について「ポジティブな面も多い。もちろん否定するわけでもない」と強調した上で「悪い言い方をすると、個で負担する部分を数で対処しないといけないチーム。世界トップのクラブや国はそんなことはしない」と指摘。W杯で勝てる国にするために、日本の長所である組織的守備にあえて疑問を投げかけた。

 森保監督は2期8年の長期政権で“よい守備からよい攻撃”をコンセプトにチームづくりを進めてきた。ミドルブロックを敷き、中盤でボールを奪って繰り出すショートカウンターが最大の武器だ。11人がコンパクトな陣形を維持して連動してボールサイドにスライド。チャレンジとカバーを徹底して常に数的優位を保つ。一人でもサボればほころびが生じるため、勤勉な“日本らしさ”を生かしたスタイルといえる。

 日本は同格以下の相手にはボールを握るスタイルで勝負する傾向が強い。今大会ではチュニジア戦、スウェーデン戦が該当する。ブロックを敷く戦術は主に格上に発動。オランダ戦は好勝負を演じて2―2の引き分け。ブラジル戦も前半は機能したが、消耗した後半はボール奪取後に前に出ていけず防戦一方になった。ボール保持率は32%。堂安は「ベースを変える必要はない。ただ苦しい時にボールをもう少し持てる時間があればとは感じる」と課題を口にする。

 強固なブロックを敷くには素早いスライドや細かいポジション修正が必要で、守備一辺倒になれば走らされて疲弊する。今大会を含め、日本は決勝トーナメント1回戦で5戦全敗。強豪相手にボール保持率を上げられず、消耗することが4試合目の壁を越えられない一因との見方もある。22年カタール大会のボール保持率はドイツ戦が22%、スペイン戦が17%。ブラジル戦は4年前と比べると、主体的に試合を運ぶ時間が増えており進む方向性は間違っていない。

 大会に向けた準備段階でブラジル、イングランドから歴史的白星を手にした試合も、ミドルブロックを敷く戦術がはまっており、必要な戦い方であることに疑いの余地はない。冨安は「一人で対処できるまで個が成長すれば、わざわざ数的優位をつくらなくていい。もちろん味方を助ける動きはポジティブに働く面が多いので、ベストはミックスすること」と結論づけた。高い組織力を維持した上で、個でも相手を上回ることが“ジャパンズ・ウエー”を進化させるポイントになる。(特別取材班)