父が退職金「2000万円」で住宅ローン残高「1200万円」を一括返済するそうです。「ローンがなくなれば安心」と言っていますが、老後資金に影響はないのでしょうか?

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退職金を受け取る際、住宅ローンが残っていると「退職金で完済したい」と考える人もいるかもしれません。しかし、一括返済はローンがなくなるメリットがある一方で、老後の生活費に影響が出る可能性もあるため、よく考えて決めることが大切です。   今回は、退職金で住宅ローンを返済すると得になるのか、また老後資金で残しておきたい金額などについてご紹介します。

退職金で住宅ローンを返済すると得になる?

住宅ローンを退職金で一括返済したほうがよいかどうかは、家計状況によって異なります。
まず、住宅ローンを一括返済すると、その後に払う予定だった利息がなくなるため、支払い総額がおさえられる点がメリットです。また、毎月のローン分の支払いが減少するため、月の固定費も減らせます。
一方で一括返済をすると、退職金のうち、手元に残るお金が大幅に減少する点はデメリットです。貯金に明らかな余裕がある場合は問題ありません。しかし、貯金に余裕がない状態で退職金も一気に使ってしまうと、老後資金が不足する可能性があります。
また、けがや病気で急な出費が発生した際に、必要な金額を用意できなくなるケースも考えられるため、退職金が入ってもすぐに住宅ローンの一括返済をしないほうがよいでしょう。
老後に必要な生活資金を考慮し、問題ない金額のみを返済に充てるほうが、生活に影響が出にくくなります。
 

老後資金で残しておきたい金額

退職金のほとんどを住宅ローンに回す前に、老後の資金に問題がないか確認してください。貯金に想定よりも余裕がない場合、年金と貯金だけでは生活が苦しくなる可能性があるためです。
総務省統計局の「家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要」によると、65歳以上かつ夫婦のみの無職世帯の平均消費支出(食費や水道光熱費など)は月26万3979円、平均非消費支出(社会保険料や税金など)は月3万2850円でした。
一方、同年、同条件での平均実収入は月25万4395円です。実収入には年金をはじめとする社会保障給付も含まれています。そのため、平均と同じような収支状況の場合、不足している月4万2434円は、貯金からまかなわなければなりません。
例えば、退職金2000万円があれば、退職金だけで不足分を約471ヶ月、約39年分まかなえます。65歳から退職金を使用して平均支出で生活すると考えると、約104歳まで不足分をまかなえる計算です。
しかし、1200万円を住宅ローンの返済に充てると、残りは800万円になります。800万円の場合、不足分を約188ヶ月、約16年分まかなえるため、65歳から不足分に充てると約81歳まで持つ計算です。
ただし、あくまで現在の平均的な家計収支が今後も続くと仮定した場合の試算です。けがや病気で大きな支出があった場合、不足する可能性があります。
このように、退職金の多くを住宅ローンの返済に充てた場合、貯金が不足していると老後の生活に影響が出る可能性があります。老後に生活するためには、年金以外でいくら貯金があればよいかを試算することが大切です。
試算の結果、預貯金などで十分な老後資金を確保できる場合には、無理のない範囲で退職金を住宅ローンの返済に充てるとよいでしょう。
 

住宅ローン控除が残っているときの注意点

住宅ローン控除(住宅ローン減税)とは、一定条件を満たしていれば、年末のローン残高に応じた金額を所得税や住民税から一定期間控除できる制度です。なお控除率は原則0.7%で、控除期間は住宅の種類などによって異なります。
住宅ローン控除が残っている状態で一括返済をすると、年末の残高がなくなるため、制度の対象になりません。収入状況によっては、住宅ローン控除で節税したほうが金銭的負担は軽減される場合もあるため、どちらがよいか比較してから決めてください。
 

貯金額によっては一括返済をすると老後の生活費が足りなくなる可能性がある

退職金で住宅ローンの残額を一括返済すると、返済総額が少なくなり、毎月のローン返済による負担もなくなる点がメリットです。一方で、退職金を返済に充てることで、貯金額によっては老後の生活費が不足する可能性があります。
一括返済を決断する際には、退職金の多くを返済に充てたあとも生活できるだけの貯金があるのか、老後にかかりそうな費用はいくらくらいかを試算するとよいでしょう。
 

出典

総務省統計局 家計調査報告 家計収支編 2025年(令和7年)平均結果の概要 II 総世帯及び単身世帯の家計収支 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯)図1 65歳以上の夫婦のみの無職世帯(夫婦高齢者無職世帯)の家計収支 -2025年- (18ページ)
国土交通省 住宅ローン減税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー