日中関係悪化、両国の民間人に深刻な影響―仏メディア
仏国際放送局ラジオ・フランス・アンテルナショナル(RFI)中国語版は29日、日中関係の悪化により、両国の民間人にも深刻な影響が出ていると伝えた。
記事は、昨年11月の高市早苗首相の台湾に関する発言に中国が反発し、今年1月にはレアアースを含む軍民両用品(デュアルユース品)の輸出規制を強化したことに言及。こうした中、5月には遼寧省大連市で日本の大手電機メーカー・富士電機の日本人社員2人が、レアアース関連物品を国外へ持ち出そうとしたとして、中国当局に拘束される事態が発生したことを紹介した。そして、「この事件は現地の日系企業に大きな衝撃を与えた。中国の関連法規は適用範囲や基準が不明確な部分も多く、どの行為が法令違反に当たるのか判断が難しいとの指摘がある。この事件を受け、中国に滞在する日本人の安全問題が改めて議論されるようになった」と伝えた。
また、2014年に成立し、23年に改正された中国の「反スパイ法」についても、「どのような行為が違反となるのかについては依然として曖昧な部分が多く、日本を含む国・地域の政府関係者や企業関係者の間で懸念が広がっている」と指摘。これまで十数人の日本人が拘束されているが、特にここ5年ほどは容疑がますます「ブラックボックス化」し、具体的な事件の実態を把握することが困難になっているとしたほか、拘束対象も民間企業の経営幹部や中国駐在の日系企業社員など、一般のビジネス関係者へと広がっていると指摘した。
一方で、「日本では高市早苗政権の発足後、外国人に対する規制強化策が相次いで打ち出されている」と言及。高市首相が意欲を示す「国家情報局」と「国家情報会議」の設置は早ければ7月にも行われる見通しであること、スパイ防止法に関する有識者会議も設置し、来年の通常国会への関連法案提出を目指して準備を進めていることなどを紹介した。
そして、日本では過去にスパイ防止法が推進されたことがあり、1985年には自民党が関連法案を国会に提出したと説明した。同法案では、国防や外交に関する機密情報を外国へ漏えいした場合、最高刑として死刑を科すことが規定されていたものの、「国家機密」の範囲が際限なく拡大することへの懸念や、言論・表現の自由を侵害するとの強い批判があり、野党だけでなく自民党内からも慎重論が出て廃案になったという流れを解説。「そして現在、言論・表現の自由に影響を及ぼす可能性があるこうした法案の成立が再び現実味を帯びつつある。在日外国人の中で最も多くを占める中国人も、その影響を受ける可能性があるとみられている」と伝えた。
さらに、高市首相は選挙期間中から一貫して外国人の入国管理をさらに厳格化すべきと主張してきたと指摘。「2025年末時点で日本に中長期滞在する外国人は412万5395人に達し、そのうち中国籍は93万428人と全体の約23%を占めている。こうした中、高市政権は国籍取得や永住許可の要件厳格化、医療費や税金の未払い対策強化などを盛り込んだ『総合的対応策』を打ち出しており、入国管理の強化や外国人関連制度の見直しが進んでいる」とした。
そして、在日中国人で特に大きな影響を受けているのが経営・管理ビザ制度であるとし、「25年10月からは資本金要件が従来の500万円から3000万円へと大幅に引き上げられ、日本語能力や経営経験、事業計画書の提出など新たな条件も加えられた」と紹介。その結果、制度改正前に月平均約1700件あった申請は昨年末以降約70件まで激減し、取得・更新を断念する中国人が相次いでいること、長年日本で事業を営み家庭を築いてきた人の中には帰国を余儀なくされるケースもあり、日本で育った子どもが中国の教育環境や生活環境になじめず苦労する事例も出ていることを伝えた。
記事は、「現在、日中関係の緊張は続いており、両国の企業や一般市民の仕事、投資、生活環境に深刻な影響を及ぼしている。中国に滞在する日本人も、日本で暮らす中国人も、増大する不確実性に直面している。両国関係が改善できるかどうかは外交上の問題にとどまらず、数百万人に及ぶ一般市民の切実な利益にも関わる問題となっている」と結んだ。(翻訳・編集/北田)

