日本は「攻撃を諦めていた」 重鎮ジーコがブラジルとの劇的勝負を検証 歯車が狂った森保采配に苦言「なぜか戦術を変えてしまったんだ」【W杯】

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「延長戦を考えていた」という森保監督の采配。その手腕にジーコ氏が苦言を呈した(C)Getty Images

なぜ日本は勝ち切れなかったのか――。“神様”から飛んだ愛のムチ

 強大な敵として立ちはだかったカナリア軍団(ブラジル代表の愛称)を、極限のところまで追い込んだ。だからこそ、「勝利」という何よりも欲した結果を掴めなかった現実に無念さが滲んだ。

【動画】ドラマチックな逆転劇 日本を破ったブラジル代表マルティネッリのゴールをチェック

 現地時間6月29日に行われた決勝トーナメント1回戦で、日本代表は、ブラジル代表に1-2で敗れた。

 前半に“一人カウンター”を炸裂させた佐野海舟のゴールで先制。幸先よくスタートを切った日本だったが、ブラジルがメンバー変更を行い、攻撃的なプランを遂行した後半に“サッカー王国”の底力を目の当たりにした。

 名将カルロ・アンチェロッティによる攻撃的な施策で流れを掴んだブラジルは、56分にカゼミーロの力強いヘディングシュートで同点弾をゲット。その後に日本は瀬戸際で耐えていたが、延長戦が見え始めた後半アディショナルタイム5分にペナルティエリア内でラストパスを受けたガブリエウ・マルティネッリに逆転ゴールを献上した。

 あと一歩だけ足りなかった。大会を通して4年前からの成長を大いに感じさせたが、結果的に、目標としていた優勝はおろか、史上初のベスト8超えも果たせなかった。

 一体なぜ日本は勝ち切れなかったのか――。国内だけでなく、世界各国のメディアでもさまざまな検証がされた。その中で、愛のある檄を飛ばしたのは、ブラジル・サッカー界のレジェンドであり、元日本代表監督のジーコ氏だ。

 試合後に米スポーツ専門局『ESPN』のブラジル版の番組にゲスト出演したジーコ氏は、「前半の日本は敵陣まで攻め込めていたし、彼らの前からのプレスはブラジルを苦しめていた」と堅い表情で語りだし、「だが、後半は違った」とバッサリ。前後半で豹変してしまった森保ジャパンの戦い方を断じた。

「後半の日本はせっかくボールを奪ったというのに、ゴールまでが遠すぎてほとんど攻撃になっていなかった。時間を使いすぎて、まともにカウンターに移れてすらいなかった。それなのにボールを持とうともせず、ブラジルにあっさりと渡してしまっていたんだ。そうしていくうちに問題は起きた。試合の流れにズレが生じたのは、日本が攻める機会を生まなかったからだ」

今も日本を愛するジーコ氏は、ブラジル戦の戦いに黙っていなかった(C)Getty Images

「まるで勝ち越したチームがやるような交代の仕方だった」

 試合前には「彼ら(日本は)相手がどこであろうと競う準備ができている」と絶賛していたジーコ氏。今も日本サッカーを愛してやまないからこそ、御年73歳になる重鎮は、守勢に回ってから、歯車が狂ったパフォーマンスを厳しく追及する。

「後半の日本はずっと危険な状態にあった。なぜか戦術を変えてしまったんだ。完全に引いて守ってカウンターというやり方にね。そうなったらブラジルにはチャンスが増えて、落ち着きが増していくんだ。日本は他の試合でここまで戦い方を変えたことはあるか? オランダ戦やチュニジア戦、スウェーデン戦でもやっていないんだ」

 守備的なマインドになり、防戦一方となった。紙一重の駆け引きの中で、相手に流れを与えてしまったメンタリティを断じたジーコ氏は、「今日の日本はほとんど攻撃を諦めていた」と怒りの言及。相手に翻弄され、次第に疲労が色濃くなっていった両サイドの守備を固めた森保一監督の交代策にも苦言を呈している。

「まるで勝ち越したチームがやるような交代の仕方だった。しかも、マルティネッリの決勝ゴールは代わった選手の所から崩されてのものだった。とはいえ、監督はああいう問題が生じることは分かっていたはずだ。ブラジルの監督の交代が機能して、日本の監督の変更は機能しなかった。それだけのことさ」

 熾烈な駆け引きの中で後手に回った日本。ジーコ氏が指摘するように、交代策を含めて勝負所での森保采配が正しかったのかは、議論の余地がありそうだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]