「大好きな地域に貢献したい」富山市で初 外国人消防団員に密着
富山県内でも、様々な分野で働いている外国人の姿を見かけることが多くなりました。そんななか今年の春、富山市で初めて外国人の消防団員が誕生しました。地域と関わりながら消防団員として活動する姿を取材しました。
空が白み始めた、午前5時。1人の男性がやってきました。
ベトナム人のフエン・フー・クイさん38歳。
今年4月から、富山市消防団の山室分団で消防団員として活動しています。富山市で初めての「外国人消防団員」です。
地域防災を担う消防団員。全国的に「なり手不足」が深刻化しています。
県内でも、ここ10年でおよそ1割、1300人以上減っています。
フエンさんが所属する山室分団もおよそ半数が50代以上。高齢化が進んでいます。
そんななか、フエンさんはなぜ消防団員になったのか…。
フエン・フー・クイさん
「周りのおじいちゃんたちに入ってくださいと言われて、入りました」
フエンさんを誘った 高島久夫さん
「消防団員にならないかということで言いましたよ。まじめですよ、下手したら日本人よりまじめだ。こんなん言ったら日本人に失礼ですけどね」
フエン・フー・クイさん
「みんなやさしいです。ゆっくりはっきりした声で教えてくれてすごくわかりやすいです」
現行の消防法では、外国人消防団員による火災現場での消火活動や消防車の運転などは、「公権力の行使」にあたるとして認められていません。しかし人命救助や避難誘導はすることができます。そして何より、外国語の通訳など、フエンさんだからこそ、できることがあります。
山室分団 金山泰司分団長
「外国の方なんで、外国の方用に誘導してもらえれば。頼もしく思っています」
フエンさんの本業は建築系のエンジニアです。
現在は、射水市の建築資材加工会社に勤め、コンピューターを使って設計や製図の仕事をしています。将来的には、2級建築士の資格を取りたいと考えています。
フエン・フー・クイさん
「未来はベトナムに(自分の)会社つくりたいですね。自分の会社つくって、日本の仕事を受け取ってベトナムに依頼します。日本とベトナムを通っていきたいです」
仕事が終わって帰宅すれば、妻と小学2年生の子どもとの団らんのひと時。
フエンさんは、来日してしばらくは広島に住んでいました。そこで2018年、「西日本豪雨」に遭いました。
フエン・フー・クイさん
「結構な大雨が降って、道とか家とか全部壊れて。道が壊れたから仕事にいけなかった」
そうした経験が、フエンさんが消防団員になるきっかけにもなりました。
フエン・フー・クイさん
「(今後も)心配あります、また大きい地震あるかもしれないので、いつも心の中に準備して」
日本が好きで、特に昭和を感じさせる品を趣味で集めているフエンさん。
近所の人もしばしば家に遊びに来ます。
フエン・フー・クイさん
「これ富山駅前ですね、100年前の写真」(周り「わあ~」)
町内会にも入り、ゴミの出し方などいろいろ教えてもらっているといいます。この地域との交流もフエンさんの大好きなひと時です。
フエン・フー・クイさん
「これから、みんなを守りたいです、もっともっとずっと」
「ちょっとやせたんじゃない?だいじょうぶ?ハハハハ」
「でもだんだん、慣れました」
富山市で初めての外国人消防団員フエン・フー・クイさん。
「地域の役に立ちたい」という心がこれからも消防団員としてのフエンさんを支えていきます。
フエンさんは富山市初の外国人消防団員ですが、県内ではフエンさんを含め9人が消防団員として活動しているということです。担い手不足が続く地域の消防団員にとって、フエンさんのような存在は共に暮らす地域の人にとっても頼もしいと思います。

