糖尿病治療薬である「マンジャロ」の痩せ目的での使用。国も副作用のリスクなどをもとに警鐘を鳴らしているが、実際には多くのクリニックにおいて自由診療で入手することができる。

【映像】ガリガリ→13kg増量したルナさん(ビキニショットも)

 その背景にあるのは根強い「痩せ願望」だ。この問題について啓発を続ける筋肉ギャルモデルのルナさんや専門家とともに、痩せ願望への向き合い方を考える。

小学生女子の痩せ願望 専門家が明かす驚きの現状

 糖尿病治療薬「マンジャロ」のダイエット目的での使用など、不健康な痩せ方に警鐘を鳴らすルナさん。自身のSNSには「小学生の娘がダイエットすると言っているが、どうしたらいいのか」などという、親からの相談が多く届くという。

 小学生にも芽生える痩せ願望について順天堂大学の田村好史教授は、驚きの現状を明かすとともに、その背景について次のように語る。

「私たちの調査でも、小学1年生女児の約3分の1が痩せ願望を持っているという、驚きのデータを最近得ている」

「アニメなどでは(キャラクターの)女の子がわりと細めに描かれているし、親子の会話でも知らない間にそういう意識が高まるおそれがあることが指摘されている。例えば『〇〇ちゃんはスリムで羨ましい』と褒め言葉で言ったつもりでも、子どもは『こういう体形がいいんだ。ずっとこの体形でいなきゃ…』と、いつの間にか思ってしまう」(田村好史教授、以下同)

 1980年ごろの美容産業の発展とダイエットブームが、現在の親や祖父母世代の価値観に影響し、下の世代に受け継がれている可能性を田村教授は指摘している。

 日本肥満学会は去年、FUS(女性の低体重/低栄養症候群)という概念で、痩せすぎや栄養不足による健康リスクについて問題提起した。低い骨密度、月経の異常、睡眠障害やうつなど、その症状は多岐にわたる。

 もともとの体質や経済的な状況によってFUSに該当する場合もあるが、問題はSNSやメディアの影響によって「痩せ志向」となり、引き起こされることもあるという点だ。

 行き過ぎた痩せ願望にストップをかけるには、こうした健康リスクの周知のほか、本当は太っていないのに「自分は太っている」と思ってしまう「ボディイメージのゆがみ」について、教育現場でも伝えていくことが必要だという。

徐々に届き始めたルナさんの思い

 不健康な痩せ願望に対し、ルナさんは「痩せ形以外のかっこよさ」を広めている。SNSでは「ガリガリを目指す前に、誰にも負けない電車でも揺らぐことのない太い足を手に入れろよ!」と発信するルナさんは、スポーツなどの競技者ではない自分が発信することで意味があると考え、筋トレ動画や鍛え上げたスタイルを投稿してきた。

 実際に、その思いは届いているようで…。

「『ムキムキギャルかっこいい』と言ってもらえる。私の健康・筋肉・いっぱい食べるなどの発信を見てくれた小さい子たちが憧れてくれて『うちの子ダイエットし始めようとしてたけど阻止できました』『親としては本当に嬉しくて』などのDMをくれるお母さんたちがいて、少なからず役に立っていると感じる」(ルナさん)

「刷り込んでいる側をなんとかしろ」瀧波ユカリ氏が痛烈批判

 マイウェルボディ協議会による16歳〜23歳の女性への調査によると、普通体重の人のうちの約半数、痩せ形女性でも約2割が「自分を太っている」と認識している。

 この問題に対し、ニュース番組『わたしとニュース』でハレバレンサーを務める、漫画家でパブリックスピーカーの瀧波ユカリ氏は、痩せ願望を“刷り込んだ側”や、コンプレックスをあおって利益を得ようとするビジネスについても変える必要があると指摘する。

「テレビをつけたら細い女の子たちが映り、『綺麗』『スリム』といった言葉が溢れている。そっちを止めないと」(瀧波ユカリ氏、以下同)

「子どもには『あなたはあなたのままでいいはずなのに、ダメだと教え込んでくる存在がある』と教えるべきだ。『そのままじゃ恥ずかしい』と刷り込んでお金を儲けようとする存在をなんとかしなければならない。いくら『そのままでいい』と言っても焼け石に水で、自己責任のような話になってしまう」

 今、痩せているのにマンジャロなどを使って痩せようとしている人に向けて、ルナさんは「今だけじゃなくてもうちょっと先を見た方がいい。迷惑かけるのって自分だけじゃないから。自分が入院したりとかしたら、迷惑かける人は自分以外」とメッセージを送る。

 これに対し瀧波氏は、次のように述べた。

「このメッセージでさえもすごく切ない気持ちになる。今の若い人たちはなかなか先を見ることができないため、自分にストップをかけるための言葉が『他の人に迷惑がかかる』と。それがわかっているからルナさんもこういうメッセージを出したのだろうが、私は自分を一番に考えてと思う」

(『わたしとニュース』より)