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岡山後楽園のタンチョウのヒナ。写真家の青江隆晴さんが撮影したタンチョウの愛らしい写真が筆者の元に届きました。

【写真を見る】【ふわふわ】タンチョウの赤ちゃん 茶色いふわふわの羽毛に覆われ親鳥の後ろを一生懸命ついて歩く【癒し】

生物に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。

ツルってどんな鳥?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「ツルの仲間、タンチョウのかわいい雛たちの写真ですね。

ツル、といえばどんな鳥かは想像できる方が多いと思いますが、実物を見る機会は少ない鳥なのではないでしょうか?

今回ご紹介するタンチョウは、学名 Grus japonensis というツルの仲間です。その名の通り、日本ではよく見られ、かつては本州などにもいたとされています。

ツルを思い浮かべていただくと、頭が赤いのが特徴的だと想像されるかもしれません。タンチョウはまさにこのイメージ通り、頭頂部に鮮やかな赤い皮膚があり、丹(赤色)の頂(いただき)という名前の由来になっています。

スラっとした立ち姿の全長は約140cm、翼を広げると約2.4mにもなる日本最大級の鳥類です。

古くから長寿や夫婦円満の象徴として親しまれ、縁起の良い瑞鳥(ずいちょう)として絵画や着物などにも描かれてきました」

野生では、おもに北海道東部に

(東洋産業 大野竜徳さん)
「そんな誰もが想像しやすいツルの仲間のタンチョウ、現在、野生では主に北海道東部で見られる程度だとされています。

江戸時代までは本州各地にも生息していたと考えられており、ここ、岡山県にも飛来記録が残されています。

それが明治時代以降、乱獲やツルの生息地である湿原の開発によって急激に数を減らし、一時は絶滅を疑わるくらい減少したとされています。

1924年に北海道で十数羽が再発見されたことから、日本国内での保護活動が始まりました」

岡山県では?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「岡山県では約300年前(江戸時代)からタンチョウの飼育が行われていました。

戦後に一度途絶えたものの、中国から寄贈された2羽をきっかけに再び飼育が始まり、現在は岡山後楽園、岡山県自然保護センター、きびじつるの里などの鶴舎で飼育されており、特に岡山県自然保護センターは全国屈指の保護・繁殖技術を持つ施設として知られているそうです。

人工ふ化や血統管理を行い、種の保存に大きく貢献しています。ここ岡山県は実はツルをとても大切にしている県なのですね」

何を食べるの?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「タンチョウは雑食性です。主に湿地や草地に降り立ち、昆虫、カエル、小魚、ザリガニ、ミミズ、穀類、草の根、水草などさまざまなものを食べています。長いくちばしを器用に使って地面や水辺を探りながら採食します。

ツルのくちばしは、水や泥の中の見えない食べ物を探り当てるセンサーであり、エサだけをつまみ出すお箸の代わりもする重要な器官です。

そしてタンチョウの魅力のひとつが夫婦の絆です。タンチョウは終生一夫一婦制、一度つがいになると長期間同じ相手と暮らすことが知られています。

夫婦は繁殖期である冬季には向かい合って跳ねたり羽を広げたりするタンチョウの舞、声を合わせる鳴き交わしも有名です。

自然保護センターの近くでは、タンチョウの鳴き声が響いているのを耳にすることができます。

互いにリズムをピッタリ合わせて深く頭を下げてお辞儀をし、大きな翼を広げてステップを踏み、時折高くジャンプ、その間にオスが、クェーーーッ!と鳴き、メスがカッカッ!とかなり遠くまで通る大きな声、迫力満点のタンチョウの舞は是非一度ご覧になっていただきたいですね。

この優雅な求愛行動は、日本を代表する鳥の美しい光景だと思います。

この求愛行動は長年連れ添った夫婦の阿吽の呼吸で、若い夫婦は少しリズムが合わなかったり、声の張りや音程もイマイチだったりで、若い夫婦のベテラン夫婦を見習いながら練習を重ねていく姿もほほえましいですね」

育雛の季節

(東洋産業 大野竜徳さん)
「今、この時期は熱烈な求愛の時期ではなく育雛の時期です。タンチョウは春から初夏にかけて産卵し、雛が育っていくのです。

通常は2個の卵を産みますが、当然自然界では2羽とも成鳥になれるとは限らず、なかなか仲間の数は増えません。

生まれたばかりのヒナは茶色いふわふわの羽毛に覆われ、親鳥の後ろを一生懸命ついて歩きます。

人間の赤ちゃんが歩くまで約1年かかるのに対し、タンチョウのヒナは生まれて数時間で親の後をついて歩き始めます。そして親鳥は夫婦で協力して子育てを行います。

魚や昆虫などのエサを与えながら、約100日間の子育てを行って、親と変わらない姿になった後、雛は独り立ちしていきます。

この時期、日々成長する雛の姿、親子で歩く姿は、多くの人を引き付ける光景ですね」

野生個体数は?

(東洋産業 大野竜徳さん)
「現在、タンチョウの野生個体数はかつてよりは回復傾向にありますが、世界全体ではおよそ約3,000~5000羽、そのうち約半数が日本の北海道に生息すると言われる希少な鳥です。

数が少ないうえに集中してということは、感染症の流行、住処や子育ての舞台となる湿原環境の変化、事故や災害などが起きた場合、大きな影響を受ける可能性があります。

そのため、岡山県で行われているような飼育下での保全活動は、タンチョウが珍しく変わった生き物だから、という理由ではなく、種の保全のために万が一に備える保険とも言える重要な取り組みです。

この時期見られる写真のようにふわふわのヒナのかわいらしさに目を奪われますが、その一歩一歩の後ろには、長い年月をかけて受け継がれてきた保護活動があります。

岡山で育つ親子の姿、そして冬に見られる情熱的なタンチョウの舞。機会があればぜひ、その美しさと力強さを実際に見ていただきたいですね!」