ターンオーバーもしながらGSを3連勝で終えたアルゼンチン。堂々の首位通過を果たした。(C)Getty Images

写真拡大 (全2枚)

 前回王者アルゼンチンが、グループステージを盤石の内容で突破した。

 初戦のアルジェリア戦(3−0)、続くオーストリア戦(2−0)を終え、連勝でラウンド32進出を決めていたため、ヨルダンとの第3戦では大胆なターンオーバーを敢行。それでも3−1で勝利し、3戦全勝でJ組を首位通過した。

 ヨルダン戦で最も印象的だったのは、勝利そのものよりも「チーム全体の層の厚さ」を改めて証明したことだろう。

 オーストリア戦で負傷交代したクリスティアン・ロメロに代わり、右センターバックには引き続きニコラス・オタメンディが先発。さらにGKエミリアーノ・マルティネスとFWラウタロ・マルティネスを除く9人を入れ替え、リオネル・メッシもベンチスタートとした。23歳のジュリアーノ・シメオネや21歳のニコ・パスら、普段は控えに回る若い選手たちに経験を積ませるプランだった。

 それでもアルゼンチンの戦力は大きく落ちなかった。19分、ゴール正面やや左で得たFKをジオバニ・ロ・チェルソが鮮やかに左足で沈め、先制点を奪う。31分には追加点を挙げる。セットプレーからマルコス・セネシが倒されてPKを獲得。キッカーを務めたL・マルティネスが成功させる。

 試合を優位に進めていたアルゼンチンだったが、55分にはヨルダンのエース、ムーサ・アル・タマリにゴールを許し、流れがやや相手へ傾く。そこでリオネル・スカローニ監督は迷わなかった。
 
 60分、L・マルティネス、ロ・チェルソ、ニコ・パスを下げ、ティアゴ・アルマダ、アレクシス・マカリステル、そしてメッシを一気に投入。さらに71分にはシメオネに代えてバレンティン・バルコを送り込む。これで試合の主導権を完全に握り返した。

 そして80分、メッシが自ら獲得したFKを左足で決め、勝負を決定づける3点目。途中出場ながら存在感を示した。

 試合後、スカローニ監督が最も強調したのは結果ではなく、「全員を起用できた価値」だった。

「試合に勝利した今、全体を振り返ってみると、非常に前向きな手応えを感じています。何よりも、すべての選手を実際にピッチに立たせることができたという点が大きいです」と振り返る。「選手全員にワールドカップでプレーする喜びを味わう資格があると考えていました。難しい試合展開の中で、彼らは素晴らしいプレーを見せてくれました」と控え組を高く評価した。

 アルゼンチンは単なるメッシ頼みのチームではないことを、この90分で改めて証明した。ロ・チェルソは攻撃のリズムを作り、ニコ・パスも随所で才能を感じさせた。シメオネは前線から精力的な守備で流れを引き寄せ、センターバックのセネシは攻守両面で奮闘した。彼らがそれぞれ自分の役割を果たしたことで、メッシは30分だけのプレーで十分だった。

 スカローニ監督は「彼らは本当に素晴らしい。重要なのは全員がプレーできる状態にあり、頼りにできることでしたが、その実力をしっかり証明してくれました」と、チーム全体への信頼を口にしている。

 ロメロの状態は依然として気になるところだが、指揮官は「マリオ(ロメロ)は順調です。チーム全体が万全の状態にあり、いつでも試合に出られる準備が整っています」と説明する。
 
 メッシをベンチスタートにした理由について、スカローニ監督は「チームメイトがピッチに立つ機会を与え、これから控える戦いに向けて余力を残したかった。彼自身もそれが最善だと判断し、私も同意しました。メッシがアルゼンチン代表やチームメイトにとってどのような存在であるか、その事実がすべてを物語っています」と明かす。

 また「世間で取り沙汰されるような数字のことは、彼自身、それほど重視していない」と語り、個人の得点数を伸ばすために出場時間の確保を求めるような言動は一切ないことを示唆する。