大手書店1位、発売即重版!『見えない戦争』北村滋・元国家安全保障局長が語った「スマホがサイバー攻撃に」「中国が仕掛ける認知戦」《ビジネスエリートに話題沸騰中》
6月19日に発売された北村滋元国家安全保障局長(69)の新刊『見えない戦争 インテリジェンス・勢力圏・経済安全保障の地政学』(文春新書)が話題沸騰中だ。発売即重版がかかり、紀伊國屋書店新宿本店(新書部門=6/15〜6/21)、紀伊國屋書店梅田本店(新書部門=6/15〜6/21)などで1位を獲得。著者の北村氏が「週刊文春」の取材に応じ、ビジネスの現場における“見えない領域”の重要性について語った。記事の一部を抜粋して公開する(初出:「週刊文春」2026年6月25日号)

経済安全保障政策を推進してきた北村氏
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「“見えない”という意味では、経済安全保障の重要性が一層高まってきています。例えば、デリスキング(特定の国や地域への過度な依存を避け、リスクを低減する戦略)の観点からサプライチェーンの多角化などが求められる。また、M&Aの問題も避けては通れません。特に中小企業の場合、最先端の技術を持っていながら、株式市場ではその技術やのれんなどの無形資産が低く評価されがちで、懸念国(安全保障上のリスクが高い国家)の企業に買収されようとするケースも出てきた。さらに、開発など企業の機密分野においては、適切な人材配置と、厳格な契約で対応していく必要がある。まさに、企業自身のインテリジェンス能力が問われる時代なのです」
さらに、スマートフォンが浸透した私たちの生活でも“見えない領域”への攻撃は始まっている。
「ロシアによるウクライナ侵略はひとたび安全保障上の危機が勃発するや、スマホがサイバー戦の最前線の一部となることを浮き彫りにしました。侵略直前の22年2月中旬以降、日本国内のウェブサイトに対するサイバー攻撃は、直近3カ月平均と比べて最大25倍に増加したのです。とりわけ2月以降、『エモテット』と呼ばれるマルウェア(悪意あるソフトウェア)が検知される事例が爆発的に増えました」
スマホは大多数の国民が常時持ち歩き、かつ、ネットワークに繋がっているという特性を持つ。このうえなく便利な分、安全保障上のリスク要因となる可能性も極めて高いという。
特定の個人がターゲットになり得る
「ミクロレベルで言えば、特定の個人がターゲットになり得ます。例えば、位置情報が漏洩すると、標的端末の保持者の所在が判明するだけでなく、その者へのピンポイントの物理的攻撃もできてしまう。マクロレベルでは、大量のスマホを活用した大規模なサイバー攻撃も可能になります」
SNSやAIの進展という観点からも、憂慮すべき問題は少なくない。
「SNSでは、AIで自動的に生成されるナラティブ(物語)が目立ちます。ディスインフォメーション(偽情報)は表現の自由の文脈で語られることもありますが、機械が生成する情報に表現の自由はあるのか、真剣に考える必要があります」
実際、中国は日本に対し、SNSやAIを駆使して世論を誘導する「認知戦」を仕掛けているとされる。
「読売新聞が、今年2月の衆院選でも中国系と見られるアカウントが“反高市”の情報工作を行っていたと報じていました。インフルエンサーなどを利用し、一般人が信じやすいナラティブを作ってくる。新型軍国主義の一種とも言えます」
国家を背景とした悪意あるナラティブに対し、どう対抗するべきなのか。
「今後は、いかにAIなどの高度な技術を活用してカウンターナラティブ(対抗する物語)を生成するかが重要な課題になってくる。政府が関与するべきか議論が分かれるところですが、こうした現実を直視しなければ、国民の分断など深刻な問題を招きかねません」
私たちにとっても“見えない戦争”は全く他人事ではないのだ。
きたむらしげる 1956年東京都生まれ。東京大学法学部を経て、1980年警察庁に入庁。2006年内閣総理大臣秘書官、2011年内閣情報官、2019年国家安全保障局長・内閣特別顧問。現在は北村エコノミックセキュリティ代表。著書に『外事警察秘録』(文藝春秋)、『国家安全保障とインテリジェンス』(中央公論新社)など。
《この記事の全文は「週刊文春 電子版」で読むことができる》
(北村 滋/週刊文春 2026年6月25日号)
