「1尾4860円」世界で初めての完全養殖ウナギは「天然物」とどう違う?…味の特徴と味わい方
「味が多少は落ちると思っていましたが、ふっくらしていて美味しかった。脂ものっていて、知らずに店で出されたら天然ウナギと区別がつかなかったでしょう」
30代男性がそう興奮ぎみに明かす。
5月29日、「完全養殖ウナギ」が一般向けに、「山田のうなぎ うな骨らーめん 築地本店」とECサイトで試験販売された。世界で初めての試みに注文は殺到し、1尾4860円(税込み)の価格にもかかわらずたちまち完売した。
完全養殖ウナギは「関東風の調理法」と相性◎
これまで流通していたのは、人の手を介さない天然ウナギと、稚魚を捕獲し養殖場で育てる養殖ウナギだ。そもそもこのふたつの味はどのように違うのか。鮨専門ブログの「すしログ」を運営する大谷悠也氏が解説する。
「天然は香りと食感が強く、味が濃い。一方で養殖は香りが比較的穏やかで触感が柔らかい。また、脂がのっていて、甘みが強い傾向にあります」
一方、「完全養殖」は卵から成魚までをすべて人工的に育てるという点で大きく異なる。味にはどのような違いが出るのだろうか。大谷氏が続ける。
「今後の養鰻技術(育て方)次第ではありますが、魚体レベルでは近い味になるのではないでしょうか。よくのった脂をふんわり、とろりと仕上げる関東風の調理法との相性が良いと思います」
50年以上にわたる努力があった
そもそもこれまで完全養殖ウナギが一般に流通しなかったのには理由がある。コストなどの面で実現が難しかったからだ。
魚の繁殖メカニズムを研究する、東京大学の神田真司准教授が解説する。
「ニホンウナギはマリアナ海嶺で産卵して孵化し、また川に戻ってくる不思議な生態をもち、水槽で産ませて育てることが難しかった。50年以上にわたる研究者たちの努力で繁殖、餌や水槽の改良し、ようやく人工飼育下で育てられるようになってきたのです。現在、コストも当初に比べてかなり下げることができたのでしょう。
完全養殖では世代を重ねるごとによく育つウナギが増えていくことが期待できます。今後、資源の心配をせず、おいしいウナギが食べられるようになると楽しみにしています」
現在、完全養殖ウナギの生産コストは従来の養殖ウナギと比べて3倍ほど高い。将来的にはさらにコストを下げ、一般流通を目指していくという。
誰もが安くて美味しいウナギを楽しめる日も遠くないかもしれない。
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