「自分らしく暮らすには変化を受け入れ、手放して新しく始めることが大切」と話すのは、季節の食材や果実を生かしたシンプルな料理や保存食が得意な料理家の中川たまさん(54歳)。現在は神奈川県の逗子の持ち家で夫と社会人3年目の娘と3人で暮らしています。更年期で体力、気力が若い頃のようにいかず、おっくうなことも多くなったという中川さんが、年齢と向き合うために手放したこと、始めたことを語ります。

※ この記事は『年を重ねて今を彩る 暦の手仕事』(日本文芸社刊)より一部を抜粋し、再編集しています。

【写真】30分で熱々のポタージュが完成!

手放したこと1:家族のごはんづくり

夫が会社員、娘が学生の頃は、平日はお弁当を2つつくっていたし、家族そろって食べる食事の支度は私の役目と、当たり前のように思っていましたが、今は家族皆、毎日のスケジュールもまちまち。起床時間や帰宅時間も把握できなくなりました。

夫も料理好きだし、娘もやればできる年頃。今は各自食べたいものを自分で用意し、たまに時間と意見が合うときだけ一緒につくったり、夫にふるまってもらったりしています。

手放したこと2:すべて自分でつくること

ひとりのごはんは楽したいけれど、バランスよく食べたいし、食材もきちんと使いきりたい。そんな思いからスープメーカーを購入してみました。

適当に切った野菜と水分を入れてボタンを押せば、30分で熱々のポタージュがつくれる優れもの。朝、スープメーカーをセットし、ゴミ出しをして洗濯物を干したらちょうどでき上がっているので、朝ごはんに重宝しています。

もう1つ、導入したのが小さなホットプレート。台所に立ちたくない、献立が思いつかない晩ごはんのときには、ひとり鉄板焼きのような食卓料理で。野菜と魚の切り身、あとはタレを用意して、冷凍のおむすびを一緒に焼けば、十分満足。

家電にはあまり興味はありませんでしたが、最近は頼れるものを活用して手を抜きながら気楽に手づくりしています。

手放したこと3:スケジュールをつめ込むこと

娘にスケジュールを聞くと、1日に予定をいくつもつめ込んでいるうえ、移動の距離も半端ではないときがあります。

私も若い頃は手帳がぎっしり埋まるのが楽しかったなと思い出しますが、今は予定をつめ込んでしまうと気力と体力がもたなくて、結局どこかにシワ寄せがきて疲れ果て、納得のいくものができないため、前後の予定を見ながら優先順位を決めて組むようにしています。

小さな余白が心の余裕になる年齢ですね。そんな余白に夜な夜なジャムをつくったり、おやつをつくったり。そのときの気分で手を動かします。大好きななにかをつくるほんの少しの余裕が、明日への活力になっています。

新しく始めたこと1:人生初の野菜定期便

住んでいる地域はありがたいことに旬の安心安全な食材が手に入りやすく、その都度自分の目で見て納得のいくものを選んできましたが、大磯のuramichiFARMの野菜と出会ったことで、初めて野菜だけの定期便を始めました。

庭の片隅で育てても、その大変さがわかる土壌づくりと野菜栽培。丹精込めて育てられたおいしくて美しい野菜が届くたびに感動し、そしておいしく使いたいと料理をするのが楽しくなります。

ご夫婦のお人柄どおりの丁寧な梱包と野菜のお話やレシピもついている野菜通信も毎月のお楽しみです。

新しく始めたこと2:お散歩でリセット

もともと家好きですが、仕事柄、自宅で試作したり撮影したりと同じ環境にいることが多く、さらに最近は家族の帰りが遅くて食事の支度もいらないときは、夜もずっと仕事をしていられるから困ったものです。オンオフの切り替えができず、心身共にモヤモヤが続いたり、血行が悪くなったり。代謝が落ちていることも感じて「これではまずい」と思い立ち、気分転換を兼ねた海までのお散歩を習慣にしました。

海岸まで徒歩で20分、自転車だと6分くらいの距離。海の音を聞いて気持ちを浄化し、穏やかな海を眺めたり夕陽にみとれたりするだけでリフレッシュになります。自由に使える時間こそ、メリハリをつけて有意義に過ごしたいと思います。