マライア・キャリー やシアラを起用 セレブを使ったホリデー戦略は「即効性よりもブランド構築」

記事のポイント ホリデー商戦に向け、ブランド各社がセレブリティを起用したキャンペーンを展開し、ブランド認知の拡大を図っている。 カラーズ・アンド・コーは長期的なブランド構築を目的に有名人との提携を強化し、即効性よりも親和性を重視する姿勢を示した。 トゥルーレリジョンはシアラを起用し、女性顧客の拡大を狙うなど、セレブ活用の戦略が多様化している。
2025年のホリデーシーズンも、あらゆるメディアチャネルでスターを起用したキャンペーンが目立つ見通しだ。ブランド各社は、競争の激しいショッピング環境のなかでブランド認知を高めるため、セレブリティパートナーに依存しつつある。その一例として、トゥルーレリジョン(True Religion)は歌手シアラとタッグを組み、ファッションファイル(Fashionphile)はマーサ・スチュワート氏を2025年のホリデーアンバサダーに任命した。シアラを起用したトゥルーレリジョンのキャンペーン動画
新興ブランドも「セレブ投資」へ--売上急伸の背景に長期戦略
メンズウェアブランドのカラーズ・アンド・コー(Collars & Co.)の創業者兼CEOであるジャスティン・ベアー氏は、同社が2024年に5000万ドル(約75億円)の売上を達成したことを受け、2025年のホリデーシーズンを前にセレブリティマーケティングへの投資拡大を決めたと語る。2025年に入ってから、売上は前年同期比で60%増加しているという。同社は10月下旬、ビジネスマンでありセレブリティの夫、ビル・ランシック氏とフットボール解説者グレッグ・オルセンを新アンバサダーに迎えると発表した。両氏はソーシャルメディアや店舗で展開するキャンペーンに登場する予定だ。「彼らとは単発の投稿で終わらせるつもりはなく、長期的なパートナーシップを築いていきたい」とベアー氏は語る。同社はすでにNASCARドライバーのジミー・ジョンソン、ESPNのスポーツキャスターであるジョー・バックとも提携している。「もちろん、彼らの出演料をすぐに回収できるとは思っていない。だが、ブランドの関連性を高めるための投資であり、彼らは我々のオーディエンスと親和性が高い。長期的な取り組みなのだ」と続けた。各ブランドがマーケティング費を厳しく精査するなかで、あえてセレブリティの力に賭ける動きも出ている。全米小売業協会(National Retail Federation)によれば、2025年のホリデーシーズンにおけるひとり当たりの平均支出額は約890ドル(約13万4000円)と、年間でもっとも高い消費イベントになる見とおしだ。そのため、ホリデー期間中の売上を超えてブランド認知を高めるために、適切なセレブリティとの提携を模索するブランドが増えている。音楽パートナーシップ企業マッシブ・ミュージック(Massive Music)のエグゼクティブクリエイティブディレクターであるコミー・マクマレン氏は、ブランドとミュージシャンの協業を手がけており、最近では「影響力の持続性」を重視するブランドが増えていると述べる。「従来型のインフルエンサーはアルゴリズムの変化で影響力を失う可能性があるが、アーティストは違う。人々はいつでもレコードショップやライブ会場に足を運ぶ。だからこそ、彼らは非常に魅力的なのだ」と同氏は語った。即効性よりもブランドの構築を重視
セレブリティが自身のSNSでパートナーシップを投稿すれば、その効果は絶大だ。セフォラ(Sephora)は「クリスマスの女王」マライア・キャリーを起用し、11月1日に「It’s Time」と題したホリデーキャンペーンをスタートした。マライア・キャリーとビリー・アイクナーが出演するセフォラのキャンペーン動画
広告には俳優でコメディアンのビリー・アイクナーも出演し、クリスマスを中止しようとする不満げなエルフ役を演じている。この広告は、マライア・キャリーのYouTubeでわずか2日足らずで250万回再生され、同社の年次イベント「セフォラ・セービングス・イベント」の開始時期に合わせて公開された。ベアー氏は、セレブリティを起用したキャンペーンがかつてほどの即効的な効果をもたらさなくなっていると指摘する。「以前ならドウェイン・ジョンソンに3万ドル(約450万円)払えば、100万ビューをほぼ保証できた。だがいまでは、どんなにフォロワー数が多くても、内容が良くなければ1万ビューしか取れないこともある」と語った。そのため同氏は、SNSだけでなく、ダイレクトメール、屋外広告、ポッドキャスト、テレビなど、複数のチャネルで展開できる場合にこそ、有名人とのパートナーシップに投資する価値があると考えているという。目的は短期的な販売促進ではなく、長期的なブランド認知の構築だ。「支払っているのはブランド親和性への投資であり、それこそが強みだ。我々はいま、ブランド価値と長期的成長により多くを費やす段階にあり、とてもワクワクしている」とベアー氏は述べた。