ロレックス より安く、タグ・ホイヤーより希少 信頼と価格のバランスが「チューダー」成長の鍵

記事のポイント
チューダーは手頃な価格と高級感を両立し、若年層や初心者を中心に人気が急上昇している。
中古市場でも存在感を強めており、希少性や安定した価格設定がコレクター層に評価されている。
著名人の着用やロレックスの影響を受けたデザインもあと押しし、ブランド価値が向上している。
チューダーは手頃な価格と高級感を両立し、若年層や初心者を中心に人気が急上昇している。
中古市場でも存在感を強めており、希少性や安定した価格設定がコレクター層に評価されている。
著名人の着用やロレックスの影響を受けたデザインもあと押しし、ブランド価値が向上している。
ここ最近、高級時計業界は厳しい逆風にさらされている。関税の影響や中国市場の低迷により、スイスの時計ブランドの成長は足踏み状態となっている。
中古市場でのチューダー人気と成長指標
急成長中の中古時計マーケットプレイス「ベゼル(Bezel)」では、チューダーの売上が著しく伸びている。ベゼルによる2025年前半の分析によれば、チューダーは全体の売上の12%を占めており、これは2023年同期の2倍にあたる。
さらに、ユーザーが「あとで購入したい」と保存する「Wants」においてもチューダーは6%を占めた。一次流通市場においても、チューダーの売上は5億ドル(約780億円)を超え、ロレックス全体の売上のおよそ5%に達している。
一見6%という数字は小さく見えるかもしれないが、同じ「Wants」でロレックスが37%を占めていることを踏まえても、チューダーは数万ドルもするような高級ブランドであるオーデマ ピゲ(Audemars Piguet)やパテック フィリップ(Patek Philippe)を上回っている。
両ブランドはいずれも「Wants」のシェアが5%にとどまっており、それに対してチューダーの時計は3000ドル(約47万円)程度で購入可能である。
ロレックスにおけるチューダーの役割
「チューダーは本当に素晴らしいブランドだ」と語るのは、ベゼル創業者兼CEOのクエイド・ウォーカー氏。
「ある意味で、チューダーはロレックスにとっての実験室のような存在だ。よりスピーディに動き、新しいスタイルやアイデアを探ることができる」。
実際、多くの時計愛好家は、2020年に発売された人気モデル「チューダー・ロイヤル(Tudor Royal)」のデザインが、2025年に登場したロレックスの新モデル「ランド・ドゥエラー(Land-Dweller)」に強い影響を与えているとみている。このランド・ドゥエラーは、ロレックスにとって10年以上ぶりとなる完全新作モデルである。
ブランドとしての歴史と著名人の支持
チューダーは1926年、ロレックス創業者のハンス・ウィルスドルフ氏によって設立され、以後ロレックスの姉妹ブランドとしての立ち位置を保ってきた。
価格がロレックスのごく一部にすぎないにもかかわらず、チューダーはその格式と、著名人コレクターによる支持という恩恵を受けている。たとえば、元サッカー選手のデビッド・ベッカムは、50歳の誕生日に贈られたカスタム仕様の「チューダー・ブラックベイ・クロノ(Black Bay Chrono)」を着用してウィンブルドンに現れている。
また、同じウィンブルドンでは、俳優のエディ・レッドメインやアンドリュー・ガーフィールドが、いずれも約7000ドル(約110万円)のオメガ(Omega)を身につけていた。
価格高騰のなかで光る手の届くラグジュアリー
こうした手の届く価格帯の高級時計ブランドの魅力は、高級各社が一斉に値上げを続けるなかで、ますます高まっている。
新品および中古時計を扱う大手販売店「ボブズ・ウォッチ(Bob’s Watches)」による7月10日の報告によれば、ロレックスの価格は過去15年で555%も上昇しており、同社での販売価格は2020年と比べて約60%高くなっている。
こうした関税やインフレの影響で消費者の購買力が低下するなか、多くの高級ブランドはラインナップに低価格帯のプロダクトを追加している。
「かつてチューダーはロレックスの『継子』のように見られていた」と語るのは、ボブズ・ウォッチ創業者兼CEOのポール・アルティエリ氏だ。
「しかしこの5年で人気は爆発的に高まった。ロレックスはチューダーに対して新たなモデルやスタイル、アイデアの開発に注力してきたし、価格もとても安定している。ロレックスと比べると特にそうだ」。
タグ・ホイヤーとの違いに見る、チューダーのブランド戦略
スイス製の手の届く高級時計ブランドとして、タグ・ホイヤー(Tag Heuer)も名の知られた存在である。LVMH傘下の同ブランドは、今年ロレックスからF1公式スポンサーの座を奪うなど、これまで高価格帯ブランドの領域だった場面に積極展開している。タグ・ホイヤーとチューダーは価格帯も似ており、多くのモデルが3000〜5000ドル(約47万〜78万円)のあいだに収まっている。
ただしアルティエリ氏によれば、高級時計マーケットプレイスの多くはタグ・ホイヤーの取り扱いに慎重な姿勢を見せているという。その理由は「流通量の多さ」だ。
「タグの問題は、作りすぎることだ。数十万本の時計を生産しており、供給過剰になれば需要を上回ってしまう。本物のラグジュアリーブランドのような希少性がなくなってしまう」と同氏は語る。
2017年以降で売上が倍増したチューダーは、年間約30万本の時計を生産しており、これはタグ・ホイヤーの半分以下である。この生産規模だからこそ、価格帯が比較的低くても、コレクター市場ではラグジュアリーな存在感を維持できているのだ。
[原文:Fashion Briefing: Rolex’s lower-priced sister brand Tudor is growing as luxury watch prices keep climbing]
Danny Parisi(翻訳、編集:藏西隆介)
