歴史学者、渡辺大門氏、「歴史は観光のためにあるのか？」と疑問を呈す

　渡辺大門氏が、自身のYouTubeチャンネルで「観光客を呼び込むため、歴史を捻じ曲げていませんか？」というタイトルの動画を公開しました。株式会社歴史と文化の研究所代表取締役である渡辺氏は、少子高齢化や地方の過疎化といった厳しい社会環境の中で、自治体が歴史を利用して街を活性化しようとする試みに対し、自身の見解を述べました。

　動画内で渡辺氏は、「少子高齢化で地方の交通網も厳しくなり、博物館の運営も指定管理で外部に委託されるようになりました。その結果、学芸員の採用者数も減り、若い研究者の数も減少しています」と述べ、自治体の歴史利用の現状について詳しく説明しました。さらに、世界遺産や日本遺産の登録を観光の起爆剤とする風潮について、「最初の数年は観光客が押し寄せるが、その後は減少することが多い」と観光利用の現実を指摘しました。

　「大河ドラマの放送が関係地域を盛り上げるのは大きなチャンスですが、史実をねじ曲げたり、グレーゾーンを白とすることが散見されます」とも述べ、観光客を集めるために史実が歪められるケースについても触れました。具体的には、「例えば、明智光秀の出生地が複数あり、それが論争になったり、世界遺産や日本遺産の申請では無理なストーリー作りが行われることも」と、具体例を挙げて問題を提起しました。

　動画の締めくくりで渡辺氏は、「文化財や歴史資料は等しく尊重されるべきです。特定のものだけに多額の予算をかけるのではなく、地域全体の歴史をバランス良くPRしてほしい」と呼びかけました。また、SNSでの動画拡散を視聴者に求め、「どうかよろしくお願いいたします」と結んでいます。