Media Briefing[日本版]: 8分で把握できる、DIGIDAY的2024年 デジタル領域 予測まとめ
新たな年の始まりに誰もが知りたいのは、その年の予測であることは間違いない。DIGIDAY[日本版]において、2024年に起きうる事象やトレンドを予測・分析した記事は本項公開までに17件ほどある(これらの記事での予言が成就したか、まったくの読み違えであったかはだいたい夏頃には明らかになる)。1本の記事を4〜5分で読み終えたとして、1時間半をトレンド予測分析に当てるというのは、多忙なデジタル領域のプレイヤーたちには辛い話だ。ここはひとつ8分(自己測定による)でトレンドを把握し、ブレイクタイムに手軽に周囲に吹聴できるよう、主要なトピックをざっくりとまとめてみよう。
1. サードパーティCookie完全終了は2025年頭にずれ込む
CookieなきChromeの実現に向け、Googleは1月4日からChromeユーザーの1%を対象に、サードパーティCookieを無効化した。プライバシーサンドボックスをはじめ、現時点で代替ソリューションの「正解」は不透明で、測定の混乱にも道は示されていない。ただ、これらの議論を短くまとめるのは不可能なので割愛する。
より根本的な疑問は、本当に2024年で終了するのかだ。(これまで散々延期を繰り返した)Googleは遅延はないと主張するが、規制上、時間的、技術的な課題が重なれば、2025年にずれ込まざるを得ない。例えば、英国の競争市場庁がCookie削除の最終審査を行う、「クーリングオフ期間」は60日から120日。仮に同庁が120日フルで使うなら、Googleが今年中にCookieを無効化する期限は9月末となり、ほんの少しでも遅れれば年末商戦の広告ラッシュにぶつかることになる。
ギリギリの時間との勝負か、廃止を2025年の頭に先送りするか。後者の方が安全ではあるし、それによって実質的な影響を受ける人もほぼいないだろう。
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2. 「規制を受ける前」の駆け込みAI活用から、規制後を見据えたAI運用を模索する段階に
2023年に聞き飽きたトピックといえばAIだろう。ジェネレーティブAIは存在感を増し続けており、マーケティング分野においても、コンテンツ制作や消費者トレンド分析、ソーシャルコマースをはじめとするさまざまな局面で影響力を発揮するとみられる。
テック企業各社も「AI水準」を高める方法を模索しているが、2023年と2024年以降で決定的に異なるのは、大規模言語モデルやその他形態のAIにまつわるリスクを各国の規制当局が注視し始めており、リスクを最小化する法規制の動きが加速している点だ。アメリカの場合、法規制の行方は大統領選挙の結果に左右されがちだが、2023年11月に米上院議員団が、超党派によるAIに関する透明性および説明責任の新たな基準設定を求める法案を提出している。
今後は、統一されたルールのもとで、コンプライアンスとしてのAI管理に取り組みながら、適切な利活用を行う企業が「AI活用の成功例」として記事化されることになる。
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3. パブリッシャーの未来はイベントか、コマースか、サブスクか、あるいはまだ見ぬ事業の果てにある
もはや予測というよりも変えようのない運命のようなものだが、パブリッシャーの未来は収益源の多様化と拡大の先にしかない。サードパーティCookie廃止が利益をもたらすかもしれないという幻想も、今や誰も持っていないだろう。
多くのパブリッシャーは2024年も広告が収益の大部分を占めることを期待しているが、実際のところその見通しはまったく立っておらず、広告が確実な収入源ではなくなったことが周知の事実となっている。欧米パブリッシャーの多くは、広告の損失を補おうとイベント事業に力を入れているようだが、これはパリ五輪や各国で起きる大統領選挙など、2024年は世界各地でビッグイベントが起きることと無縁ではない。イベントはイベントを呼ぶのだ。
もうひとつはっきりしていることは、イベントであれサブスクリプションであれ(コマースは場合によるが)、いずれもパブリッシャーが自ら所有・運営し完全にコントロールできるビジネスであるという点だ。主要プラットフォームとのパートナシップを見直す動きも始まっており、2024年は「独り立ち」の年なのかもしれない。
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4. デジタルにおいて何より渇望されるのは、明確で標準化された指標と効果測定
広告配信面として「メディア」において圧倒的な成長を遂げているのはリテールメディアだ。GroupMの調査ではアメリカだけでも2023年には10%近く成長して1190億ドル(約16兆8000億円)に達すると推定され、2024年には1200億ドル(約16兆9000億円)を突破するという。
急速な成長がもたらす大きな問題のひとつが、リテールメディアにおける広告運用の効果測定に一貫した基準がなく、標準化が進んでいないことだ。現時点では各事業者の裁量で決められた基準が採用されており、「メディアが自分の仕事を自己採点し、結果を広告パフォーマンス指標として広告主に提示している」と評されている。こんな状態では、選択肢が増えても適切なアトリビューションを取りようがない。
同様の問題はCookieなき後の広告効果測定においても言える。Cookieベースでない測定手段や指標も存在はしているが、アテンション指標や代替ID技術は発展途上で、デジタルの最大の価値とすら言える、広告の効果と効率を評価する方法の未来は不透明だ。ただし、この混乱はトレンドや技術的な問題だけでなく、広告主のブランド目標とパフォーマンス目標の境界線が曖昧になり、既存の測定方法や指標が役割を終えつつあるとも考えられる。
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主な数字
3200万人:1月4日時点でサードパーティCookieが無効化されているChromeユーザー数。2024年末(もしくは2025年頭)には全世界32億2000万人のユーザーが無効化される予定だ。
70%:Timeが2023年に手がけたイベントの前年比売上増加率。同社のイベント事業は8桁(数千万ドル)の売上を達成しているという。
700億回:YouTubeショートの1日あたりの総再生回数。同社は今年をショート動画飛躍の年と位置付けている。
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