吉武博文監督が就任したおこしやす京都ACが、降格の危機に直面したワケ。山本蓮が思う「最後の突き詰め」
かつてU-17日本代表の監督を務め、独特の攻撃的かつ流動的なサッカーを構築した吉武博文氏。その後FC今治で岡田メソッドの制作に関わるなど、名将の一人として知られている。
その吉武博文監督が今季就任したのが、関西サッカーリーグ1部のおこしやす京都AC。
天皇杯においてサンフレッチェ広島を5-1で撃破するというジャイアントキリングを成し遂げ、大きな話題を集めたクラブである。関西サッカーリーグで常に優勝を争ってきた強豪だ。
今季は選手を全員クラブの社員として雇用するという新しいプロジェクトを実行し、吉武博文監督の下で大きくメンバーを入れ替えて臨んだ。
ところが、その期待に反して序盤から難しい状況が続き、関西サッカーリーグ開幕戦から5試合に渡って勝利することができず。
6月11日に行われたFC BASARA HYOGO戦で3-1とシーズン初勝利をあげたが、その次が続かなかった。12試合を終えて2勝5分け5敗、勝点11の8チーム中最下位で残り2試合を迎えることになった。
そして迎えた9月9日、関西サッカーリーグ第13節で対戦したのが残留争いのライバルであるFC BASARA HYOGO。
今年日本代表FW岡崎慎司が関わる会社がチームを引き継ぎ、「FC EASY02明石」から名前を変更したばかり。飛躍が期待されたものの、こちらも3勝3分け6敗と結果が出ず、勝点12の7位で残り2試合を迎えていた。
そして行われた残留争いの決定的な試合。BASARAは自陣からポゼッションでゴールを奪おうと狙うも、なかなか決定機にまでは至らず。
その一方、おこしやす京都ACは本来のショートパスサッカーに加えてサイドへの蹴り込みを増やし、崩しに変化を加えていたが…こちらも得点にまでは繋がらなかった。
結果は0-0のスコアレスドロー。BASARAは勝点13、おこしやす京都ACは勝点12。順位はそれぞれ7位と8位のままで最終節を迎えることになった。
なぜおこしやす京都ACはここまで苦しむことになっているのか。今季FC神楽しまねから加入して中心選手となっているMF山本蓮は、今季の戦いを振り返って以下のように話していた。
山本蓮
「形はだんだん良くはなっているんですけど、最後の詰めというところ、決定力という点がまだ高くないと思います。そこまでちゃんと崩しきれてはいないというか…まだ弱いところがあります。
まだ1試合残っているので、そこでは決定機を決めきれるように持っていければ…もっといいチームになれると思います。
もちろん残留に向けては最後は勝つしかない。他力にはなるんですが、それしかないです。決定力のところは上げられると思うので、突き詰めてやっていきたいです。
サポーターのみなさんが遠くまで応援に来てくださっていることはわかっていますし、その中で結果を出せていないことは不甲斐なく思っています。その中で自分はずっと試合に出続けているので、結果が出ないことには責任を感じています。
その気持ちを最後の試合にぶつけられたら良いなと思っています」
ボールは持つことができるが、崩し切るところまでは行かず、決定的な場面を決めきれない。それを表すように13試合で12ゴールという寂しい数字になっており、勝つべきところで3ポイントが取れなかった。
かつては関西サッカーリーグのみならず全国の地域リーグでも有数の強豪として知られたおこしやす京都ACであるが、大きな変化がもたらされたチームが「産みの苦しみ」に直面している。
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果たしておこしやす京都ACは降格を逃れることができるのか。最終節は6位の守山侍2000との直接対決であり、残留のためには勝利した上でFC BASARA HYOGOが引き分け以下に終わらなければならない。
吉武博文監督はこのクラブ最大の危機を乗り越えられるのか。おこしやす京都AC対守山侍2000の試合は、9月18日の午後2時からたけびしスタジアム京都でキックオフされる。