年明けから2月は、肉眼でも見えると予測されている「ZTF(ズィーティーエフ)彗星」に注目してみましょう。4月には久しぶりとなる部分日食に加えて、10月には部分月食もあります。夏の終わりから秋にかけては、月にまつわる現象が見逃せません。8月の満月はスーパームーンでブルームーン、9月の中秋の名月は満月と一致します。最良の条件となるのが、12月の「ふたご座流星群」です。月明かりの影響がないため、多くの流星が見られるでしょう。
今回は、2023年に注目したい天文現象をご紹介します。


【1月〜2月】肉眼で観察できる可能性あり!「ZTF彗星」が地球に最接近

新年の夜空を彩るのは、2022年3月に発見されたばかりの「ZTF(ズィーティーエフ)彗星」です。1月初旬には、明け方の東の空に6等前後の明るさで見え、次第に北へと移動していきます。北極星に近付く1月22日頃から2月初旬には周極星となって一晩中夜空に輝くでしょう。

2月2日の地球最接近の頃には、彗星は4等台の明るさになると予想され、チリの尾を引いた姿が観測されると期待されています。2月11日頃、火星の近くを通過し、13日から16日頃にかけてアルデバランやヒアデス星団の近くを通ります。夕方から夜半の月の出前までが観望の好機。チリの尾は肉眼でも比較的見やすいため、美しい彗星の姿をぜひ眺めたいですね。


【8月〜10月】「スーパームーン」で「ブルームーン」。10月には部分月食も

同じ月に2回満月がある時に、2回目の満月を「ブルームーン」と呼ぶことがあります。2023年8月の満月は2日と31日で、31日はブルームーンにあたります。この日は、1年のうちで最大の月「スーパームーン」でもあります。

9月29日の中秋の名月(十五夜)は満月になります。名月と満月は必ずしも一致するわけでなく、次回は7年後の2030年まで待つことに。貴重な機会となる、満月の十五夜を楽しみましょう。

10月29日の満月は、わずかに欠ける姿が印象的な部分月食が起こります。夜明け前の西の低空での現象となり、ほぼ全国で観測可能。4月20日に部分日食もあり、2023年は日食と月食の両方を見ることができる年になります。


【12月中旬】月明かりがなく、最高の条件となる「ふたご座流星群

三大流星群のなかでも、「ペルセウス座流星群」と「ふたご座流星群」が好条件となります。特に多くの流星が見られると予想されるのが、「ふたご座流星群」です。

13日が新月のため、12月15日4時頃の極大時には、月明かりの影響を気にせずに一晩中最高の条件で観測が可能。14日の宵から15日の明け方までに、一時間あたり60個程度の出現が期待されています。特に空の条件が良いところでは、ピーク時前後に1時間に100個の流星を数えることもありそうです。

新しい彗星の出現や好条件の流星群、月に関連する現象など、華やかな天体ショーが多く見られる2023年。一期一会の星空を楽しみましょう。

・参考文献
『アストロガイド 星空年鑑 2023』 アストロアーツ
・参考サイト
国立天文台「ほしぞら情報2023」
アストロアーツ「2023年1月 ズィーティーエフ彗星が6等前後」