家電メーカーのシャープが医療分野に前のめり!?(写真はイメージ)

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みなさん、こんにちは。馬医金満です。

新型コロナウイルスの感染拡大がくすぶるなか、家電メーカーのシャープが医療分野へ進出しています。

シャープといえば、新型コロナウイルスが全世界に拡大しはじめ2020年2月に、政府の要請に応えてマスクの製造を発表。購入を希望する人が殺到し、「シャープマスク」は抽選で当たらないと買えないほどの人気でした。

家電のシャープ、「脱ハードウェア」への挑戦

シャープは3月からマスクの製造を開始。9月現在でもマスクの購入は抽選で、累計応募総数は約880万人にのぼり、100倍ほどの高倍率が続いています。

マスク」というヘルスケア商品の人気の勢いそのままに、シャープは医療・福祉分野への本格参入を成功させました。

じつは、シャープはかねてから「脱ハードウェア」依存を掲げ、医療や介護現場に参入しようとしていました。実際に「水なし自動調理鍋『ヘルシオ ホットクック』」などの調理家電を手がけ、その狙いのひとつとして健康な食生活を支援する製品をあげています。

また、9月にも空気清浄機に搭載されている独自技術「プラズマクラスター」が、限られた実験条件下ではありますが、新型コロナウイルス抑制効果があったと発表したばかりで、医療分野での技術開発に、熱心に取り組んでいます。

しかし、これまでの調理家電や空気清浄機は、いずれもシャープの事業としては家電などハードウェアが中心のスマートライフ事業が担っていました。それに対して、今後はスマートフォンやパソコンなどの通信関連事業を中心に手がけるICT事業での開拓を目指しているのではないかと考えられています。

なぜなら、グーグルやアマゾン、アップルなどソフトウェア(中心のハイテク企業)が台頭しており、ハードウェアだけでは厳しいと感じているからではないかと考えています。ハードに加えてソリューションを強化した事業展開にシフトしようというわけです。

医療分野での映像技術で実績積み上げ

具体的には、高速通信規格「5G」(第5世代移動通信システム)によるオンライン診療に対し、シャープ独自の技術と製品を用いてリモート通信のソフトを開発、提供することが考えられています。

すでに一部の内視鏡メーカーに撮影する体内の状況を映し出すためのモニターに採用されるなど、映像技術での実績を積み上げはじめています。

また、デバイスだけでなく、撮影した映像を正しい色に補正して伝送するカラーマネジメントシステムの開発もスタートし、通信やAI(人工知能)技術を駆使することもアピールしています。ほかにも病院内でスタッフ、患者、医療機器などの動きを可視化するために近距離無線通信「Bluetooth」を利用した位置情報システム、配膳や薬剤運搬などを無人搬送車(AGV)で行うことなど、通信とデバイスを組み合わせた事業構想を次々に展開しています。

一時、事業が低迷していたシャープですが、事業転換することでどのように生まれ変わるのかが、とても楽しみです。

では、また!(馬医金満)