強者連合で“黒子”になるパナソニック、狙いは何だ?
新中計では、そのような車載電池を従来の成長事業という区分ではなく、「再挑戦事業」とした。18年度までの4年間の戦略投資枠1兆円の半分以上をこれらの事業につぎ込んだにもかかわらず、利益面の貢献がないためだ。
車載電池は、ほぼ同時に日米中の3カ国で設備投資したことによる先行投資負担に加え、18年夏にはテスラと共同運営する米国工場で生産拡大に苦戦して追加費用が発生し、18年度の業績下方修正の一因となった。
その中で、強者連合はリスク軽減の狙いもある。20年度をめどにトヨタが過半出資する合弁会社に角形と呼ばれる車載電池の生産や開発の機能を移す。パナソニックは事業の主導権をトヨタに渡すことになるが、投資負担が減る上、トヨタグループが順次発売するEV向けに着実に販売増加が見込める。
「自社リソースだけでやると、継続的な成長に限界がある」と津賀社長は前中計の課題を認める。
同社は13年度から14年度にかけてヘルスケア事業や物流関連事業など、本業とは関連が薄いと判断した事業は外部資本を導入するなどして自前主義の脱却を進めた。車載、住宅事業での立て続けのトヨタとの連携は、中核事業も例外ではないことを示すものであり、10年後の経営の柱となる事業を育てるための投資余力を確保するのに必要と判断した。
パナソニックはプラズマテレビをはじめ、デジタル家電で市場環境の変化を読み違え、大規模投資をしては巨額の減損損失を計上する負のサイクルにはまった。津賀社長は就任当時の12年、こうした事態への危機感を「普通の会社ではない」と表現した。
実力以上に急拡大、生産や開発で目立つトラブル
同社は経営危機直後の13―15年度の中計ではキャッシュフローの捻出に専念し、16―18年度までの前中計では、車載分野などを自社の強みが生きる分野を成長事業と定め、集中投資した。こうした戦略がはまり、車載事業は前中計で年間2000億円規模で売り上げを伸ばすなど、経営の柱に成長した。一方、有利子負債は16年3月末から18年3月末までに約5000億円増え、1兆2394億円となった。
また、「実力以上に急拡大した」(津賀社長)歪みで、生産や開発でのトラブルが目立つ。車載電池に加え、オーディオ一体型カーナビゲーションシステムなど車載機器でも17年度以降、海外工場の品質問題や欧州拠点で開発遅延問題があり、それぞれ100億円規模の損失を出した。
利益率を指標に事業の選択と集中を進める日立製作所などに対して、パナソニックの事業ポートフォリオ改革も道半ばだ。こうした中、津賀社長以下、経営幹部がトヨタのような「強い企業と組め」と社内で発破をかけているのもそのためだ。販路や生産、販売など協業先のリソースも借りることで、経営資源の分散の弊害を抑え込めるとみている。
