プレイリストの活用で音楽サブスクリプションはどこまで拡大する?
日本レコード協会(RIAJ)がまとめた「生産実績・音楽配信売上実績」によると、2018年における音楽作品の売上の合計金額は、前年比5%増の3048億300万円だった。そのうち、定額制の配信サービスによる売上は、315億6200万円で同13%増を記録した。
定額制の音楽配信サービスは、金額を気にせず多くの楽曲を“聴き放題”で楽しめる。その魅力をさらに高めているのが、プレイリスト機能だ。プレイリスト機能は、個人が自由に楽曲を集めて楽しめるほか、サービス提供側も公式プレイリストを作成し、サービス利用者に提供している。好みや生活、感情などに応じてリストを選ぶだけで、多様な音楽を楽しんだり新たな楽曲との出会ったりできる。AIスピーカーの普及でBGMを利用する機会が増えたことも、プレイリストに注目が集まる一因になっている。
公式プレイリストの提供に特に力を注いでいるのが、世界最大手のSpotify(スポティファイ)。人工知能(AI)が個人の視聴履歴に応じて作成するほか、国や地域ごとにプレイリストを作成する選者(エディター)を備える。日本では、2名のエディターが300以上の公式プレイリストを作成。日本法人のスポティファイジャパン(東京都渋谷区)の芦澤紀子氏は「利用者の裾野が広がる中で、多様なニーズに応えられるように質や機能の向上を図っている」と語る。
また、利用者が自作したプレイリストは、有料会員から無料会員に変わっても引き継げる。例えば、就職や育児などで音楽を聴く機会が減り、無料プランに切り替えるケースがあるが、お気に入りのプレイリストは手放したくない利用者が多いという。芦澤氏は、「サービスを使い続けてもらうことが重要。必要に応じてまた課金したくなるような体制を作る中で、プレイリストの引き継ぎはニーズがあった」と語る。
プレイリストは、人気歌手の誕生のきっかけにもなる。17年には女性歌手「あいみょん」の楽曲を紹介し、翌18年のブレイクを後押しした。「(プレイリストの影響力が認知されたことで)特に海外では、アーティストやレーベルがプレイリストを意識した戦略を立てて楽曲を売り込んでいる」(芦澤氏)という。
新たなビジネスも誕生
プレイリストを起点に、新たな音楽サービスも登場した。CotoLab.(コトラボ、東京都港区)は、17年4月にプレイリストの公開・共有に特化したプラットフォーム「DIGLE(ディグル)」を開設した。利用者はスポティファイで作ったプレイリストを投稿したり、他人が投稿したプレイリストにコメントしたりできる。20代を中心に1000人ほどが利用。「若い頃に友人とMDを貸し借りしたように交流できる」(西村謙大CEO)点が魅力になっている。
サービスの利用料は無料。プレイリストから得られるデータを活用し、広告戦略やアーティスト・レーベル向けのサービスを開発して収益化する。音楽関係者向けのサービスは、人気のプレイリスト作成者とレーベルをマッチングするコンサル事業などを想定する。
メディア事業や広告の制作、アーティストのマネジメントなどを手がけるlute(ルーテ、東京都渋谷区)は、2018年2月にプレイリストを活用した国内初のサブミッションメディア「lute music(ルーテ ミュージック)」を開設した。アーティストから提供された楽曲を組み合わせてプレイリストを作成し、定額制音楽配信サービスなどに展開する。
