ゴンザガ大の八村塁【写真:Getty Images】

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米メディアのインタビューで自身のルーツについて語る

 バスケットボール男子の全米大学体育協会(NCAA)1部、ゴンザガ大の八村塁。ウェストコースト・カンファレンス(WCC)、NCAA第9地区のMVPに輝くなど勲章を次々に受賞し、日本バスケ史上に残る活躍を見せているが、ベナン人の父親と日本人の母親を持つエースは、心に秘めたある使命感を明らかにしている。米メディア「アンディフィーテッド」で語ったもの。

 6月のNBAドラフトで日本人史上初となる1巡目指名の期待も集まる八村。パイオニアとして、バスケ少年の期待を強く感じている。

「黒人と日本人のハーフの子供たちがいた。彼らが僕を見ていることをわかっている。自分のことを注目してくれる子供たちが日本にもいる。僕は日本人。彼らの反応はすごくうれしい。彼らは自分の試合をフォローしてくれている。インターネットで見てくれているんだ」

 日本人コミュニティの大きなカリフォルニア州サンタクララでの試合後、八村はこう語ったという。ベナン人と日本人の両親をもつNCAA屈指のエースは使命感を抱いている。

「バスケットだけではなく、全てのスポーツの世界では彼らは多くの試練に直面している。多くの差別が存在する。彼らには自分自身に対して申し訳ないと思わないでほしい。日本でスポーツを楽しんでもらいたい。日本にはいいアスリートがたくさんいる。素晴らしいこと。僕もバスケットボールでそれに続かなければいけない」

 特集では「ハチムラは2つの人種をもつ日本スポーツのスターの一員に加わった」「彼は若きバスケットボール選手だけでなく、人種差別やアイデンティティの問題に苦しむ異なる人種をルーツに持つ子供たちに影響を与えることができると信じている」と評価されている。

幼少期には差別を感じたことも…それでも「僕は誇りに思っている」

 子供の頃には差別も感じたという八村。「周囲が自分を見る目は違ったけど、僕は慣れていった。黒人は日本にたくさんいないので…。中学や高校ではみんなすごく良くしてくれたんだ」と振り返っている。

 7歳で父親の故郷ベナンを訪問したといい、「僕はアフリカ人のハーフで、日本人のハーフであることを誇りに思っている。それは稀有なことで、こうなれたことが嬉しい」と両親から受け継いだ血筋に胸を張っている。

 米カレッジバスケットボールの世界でスーパースターとなった八村。

「日本人と黒人のハーフの子供たちがたくさんいる。特に東京にはね。彼のようになりたいんだ、と言われるような男になりたい」

 子供たちの希望になる――。自分のためではなく、日本スポーツ界の未来のために、八村はバスケットボールの地平を切り開くつもりだ。(THE ANSWER編集部)